不動産取引をするために、前もって知っておきたいポイントがあります。
自宅の売却を検討し始めてから、売却物件の売買契約を結び、
物件を引き渡すまでの重要なポイントを網羅しています。
売却を検討するに当たって、大きな検討課題となるのが「価格」です。
不動産は個別性が非常に強い資産であるため、価格の判断が極めて難しいという特徴があります。
最終的には、不動産会社などの専門家の意見を参考にしながら、売却価格を決定することとなりますが、不動産価格の合理的な判断手法はありません。
■価格の基本的な考え方を理解する
不動産には一つとして同じものが存在しません。同じ地域の土地でも、土地の形、面積、方位、接する道路の状況などによって、価格が大きく変わります。
また、同じ棟のマンションでも、階数、間取り、部屋の方位、管理状況などで価格は変わります。
このように、不動産価格を判断する場合には、立地条件や物件自体の特徴(個別性)を踏まえて、物件ごとに検討する必要があります。
■取引時点が変われば価格は変わる
不動産市場にも、全体的な相場の動きがあります。たとえ同じ不動産であっても、取引する時期(取引時点)が変われば、価格も大きく変わる場合があります。
したがって、不動産価格を判断する場合には、市場全体の動向も踏まえて、取引時期に応じて検討する必要があります。
■最終的には売り主と買い主の合意が前提
不動産売買は、スーパーで買い物をするように、提示された金額に対して「買うか、買わないか」の二者択一で成立するものではありません。売り主と買い主が個別に希望条件を調整し、合意に至ったときにはじめて価格が確定します。
以上のように、不動産価格は個別の「取引」ごとに決まりますので、その価格を客観的なデータだけで完全に検証することはできません。
不動産の売却で後悔しないためには
売買を目的とした不動産の価格評価を一般的に「価格査定」といいます。価格査定には様々な手法がありますが、ここでは(財)不動産流通近代化センターが発行する「価格査定マニュアル」を参考に、住宅地(土地)とマンションの価格査定のおおまかな仕組みを紹介します。ただし、価格査定には専門的な検討が必要であることを留意してください。
■取引事例比較法(土地やマンションの価格査定の基本的手法)
土地やマンションの場合、「取引事例比較法」により査定されることが多いようです。取引事例比較法は、売買しようとする不動産(以下「対象不動産」)と同じような不動産の取引事例等の価格と比較することで、対象不動産の価格を査定する方法です。まず、対象不動産と取引事例等となる不動産を比較して、取引事例等の価格をベースに対象不動産のおおむねの価格水準を査定します。その上で、取引時期の違いについて、市場全体の動向を加味して一定の調整(時点修正)を行います。
(1)取引事例等との比較
取引事例等となる不動産と対象不動産の個別性を比較します。例えば、土地であれば、土地の形・面積・方位・接する道路の状況など、マンションであれば、階数、間取り、部屋の方位などを比較します。各比較項目について、対象不動産が取引事例等となる不動産より優れているのか、劣っているのかで、取引事例等となる不動産の価格を調整し、対象不動産のおおむねの価格を査定します。例えば、対象不動産が取引事例等となる不動産より10%程度劣ると判断する場合は、取引事例等の価格を10%減価します。
取引事例等の選定に当たっての留意点
対象不動産と同じような不動産を取引事例等として選定しなければ、価格の判断を大きく誤ってしまいますので、慎重に取引事例等を選定する必要があります。以下に不適切な取引事例等の選定例を挙げます。
土地の場合
マンションの場合
(2)時点修正
取引事例等となる不動産と対象不動産の取引時点を比較します。取引事例等の不動産が取引された時点から市場相場が上昇しているか、下落しているかで、価格に時点修正を施します。例えば、取引事例等となる不動産が取引された時点より10%相場が下落していると判断する場合は、取引事例等との比較により算出した価格をさらに10%減価します。
(3)その他留意事項
取引事例等となる不動産と対象不動産の取引時点を比較します。取引事例等の不動産が取引された時点から市場相場が上昇しているか、下落しているかで、価格に時点修正を施します。例えば、取引事例等となる不動産が取引された時点より10%相場が下落していると判断する場合は、引事例等との比較により算出した価格をさらに10%減価します。
不動産会社へ相談する前に、まずは自分で情報収集してみましょう。自分で情報を集めることで、ある程度の価格イメージをもつことが大切です。ただし、そのイメージが誤っている場合もありますので、過度に先入観をもたないように注意しましょう。イメージをつかんだら、不動産会社へ具体的な相談をするとよいでしょう。「相場・取引動向」で入手できる情報を紹介しますので、不動産購入の第一歩として活用してみましょう。
売買しようとする不動産(以下「対象不動産」)の価格を知る上で参考となる取引事例やその他の価格情報は、簡単に入手できるものではありません。比較的容易に入手できる個別の価格情報を物件種別ごとに紹介します。
物件種別 | 価格情報 | 実施機関 | 内 容 |
---|---|---|---|
土地 | 地価公示 | 国土交通省 | 公的機関が評価した価格 ※1 |
地価調査 | 都道府県 | 公的機関が評価した価格 ※1 | |
土地総合情報システム | 国土交通省 | 不動産の購入者へのアンケート調査で把握した実際の取引価格情報 | |
新築マンション | インターネット広告等 | 販売中の物件の売り出し価格情報 ※2 | |
中古マンション | インターネット広告等 | 販売中の物件の売り出し価格情報 ※2 | |
レインズ・マーケット・インフォメーション | 指定流通機構 (公益法人) |
宅地建物取引業法に基づいて収集した実際の取引価格情報 | |
一戸建て (新築・中古) |
インターネット広告等 | 販売中の物件の売り出し価格情報 ※2 | |
レインズ・マーケット・インフォメーション | 指定流通機構 (公益法人) |
宅地建物取引業法に基づいて収集した実際の取引価格情報 |
※1 公的機関が評価した価格であって、実際に取引された価格ではないことに留意してください。
※2 売り出し価格ですので、実際に取引される価格と一致するとは限りません。あくまでもおおよその相場を把握するための参考情報として活用してください。なお、一般的に新築物件の場合は、中古物件ほどは売り出し価格と実際の取引価格の差が大きくないといわれています。
■特定の地点の価格情報の調べ方
■各地域の市場動向の調べ方
・地域ごとの平均価格や平均面積、物件数などの傾向を調べる
■相場を知ることが大切な理由
自分の住まいを売却する時には、いくらで売り出すのか決めなければいけません。相場からかけ離れた価格設定をしないためにも、可能な範囲で価格情報を調べる必要があります。物件の価格査定は不動産会社に依頼することが多いのですが、最終的に売り出し価格を決めるのは売り主自身です。自分自身で判断するためには、周辺相場をつかんでおくことはとても大切です。
依頼する不動産会社に売却する物件の価格査定を依頼し、説明を聞いてみましょう。
例えば、価格査定の説明が「あいまい」「いい加減」であると感じたら、納得できるまで説明を求めましょう。このような不動産会社とのコミュニケーションを通して、信頼できる会社かどうかを見極めることが、売却を依頼する不動産会社選びの重要なポイントです。
不動産取引の専門家である不動産会社が、売買等の取引のみを目的として不動産の価格などを評価することを、一般的に「価格査定」といいます。
価格査定は、売り出し価格決定などの参考情報として活用され、取引事例等の客観的なデータを用いるなどの合理的な手法で行われます。
査定の方法には、一般的に「簡易査定」「机上査定」といわれるものと、「詳細査定」「訪問査定」といわれるものがあります。
簡易査定・机上査定 | 周辺の取引事例や公的な価格情報等のデータから算出した簡便な査定。 売却検討の初期段階でおおむねの相場を把握するために利用されることが多い。 |
---|---|
詳細査定・訪問査定 | 実際に物件の状態(土地の地形、形状、接道状況、日当たり、周辺施設、建物の傷み具合など)を細かく確認するとともに、法務局や行政庁などで、登記記録(登記簿)、物件に対する法規制、上下水等のインフラの整備状況なども調査した上で行われる詳細な査定。売り出し価格の設定時などにおいて利用される。 |
不動産会社から提示された査定価格について、その根拠を十分に確認します。査定価格の根拠の説明は、価格査定書等の書面の交付、取引事例などのデータの提示、経験に基づく相場情報や地元の生情報の提供など、不動産会社の特徴に応じて様々な方法で行われます。専門的な内容も含まれますが、ある程度の納得感が得られるまで査定価格の根拠をしっかりと確認することが重要です。
また、複数社に査定を依頼した場合、査定価格に差が生じることがありますが、高い査定価格を提示したところがよい不動産会社というわけではありません。中には仲介の依頼を受けたいがために、あえて高い査定価格を提示する不動産会社も存在します。高すぎる売り出し価格を設定したために売却できなかったり、逆に低すぎる売り出し価格を設定したために売却価格に不満を感じてしまったりなど、後々の売却活動で後悔しないためにも査定価格の裏付けをしっかりと確認することが重要です。
価格査定への不動産会社の対応を見ることで、その会社が信頼できるかどうかを見極めることも大切です。特に価格査定への対応は、不動産会社ごとに特徴がありますので、具体的な判断材料となります。いかに丁寧に親身になって査定価格の根拠を説明してくれるのか、その説明内容が合理的で納得できるものかなど、査定結果と不動産会社の対応を踏まえて「自分に合った」不動産会社を選びましょう。
不動産会社に正式に売買の仲介を依頼するときには、「媒介契約」を締結します。媒介契約は、自分が希望する仲介のサービス内容とその対価である手数料などを明確にするための大切な書類です。後悔することのないよう、自分の意思を不動産会社にしっかりと伝えた上で、媒介契約を締結することが必要です。
媒介契約には「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の3種類があります。いずれも基本的な契約内容は同じですが、それぞれ特徴があります。どの種類の媒介契約を選択するかは、どのように売却活動を進めていくかなど、考えている売却方針を踏まえて、自分の意思で選ぶようにしましょう。
■専属専任媒介契約
仲介を1社の不動産会社にのみ依頼する契約で、他の不動産会社に重ねて仲介を依頼することは契約で禁じられています。また、自分で見つけてきた相手方(親戚や知人と直接交渉した場合など)についても、依頼した不動産会社を通して取引することが、契約で義務づけられています。このように、専属専任媒介契約は、売却活動の全般を1社に任せる契約です。ただし、専属専任媒介契約は依頼者に対して拘束力の強い契約ですので、専属専任媒介契約で仲介依頼を受けた不動産会社の仲介業務については、いくつかの法規制があります。
■専任媒介契約
専属専任媒介契約とほぼ同様の契約ですが、自分で見つけてきた相手方(親戚や知人と直接交渉した場合など)とは、不動産会社を通すことなく契約することができます。
■一般媒介契約
複数の不動産会社に同時に仲介を依頼することができる契約で、自分で見つけてきた相手方(親戚や知人と直接交渉した場合など)とも、不動産会社を通すことなく契約することができます。ただし、最終的には、どの不動産会社を通して取引を進めるかを決めることとなります。一般的には、有力な購入希望者を紹介した不動産会社と取引を進めることが多いようです。
円滑に売却活動を進めていくためには、はじめに売却にかかる諸費用や物件の権利関係などを確認した上で、売却の手続きや手順などを整理しておくことが重要です。
■売却にかかる諸費用の確認
手元にいくら残るか?不動産の売却には様々な費用などが必要となります。例えば、所有している物件に住宅ローンの残債がある場合には、その返済資金のほかに、ローンの抵当権を抹消するための費用も必要になります。このように、売却代金がすべて手元に残るわけではありません。
その他、物件や売却方法などによって、売却時に必要となる諸費用の額は異なりますので、仲介を依頼する不動産会社とも相談して、売却にかかる諸費用を把握するようにしましょう。
■売却にかかる主な費用
●仲介手数料
仲介を依頼した不動産会社へ媒介契約に基づいて支払う。
●抵当権抹消費用
住宅ローン残債があり、抵当権が設定されている場合に抹消登記の登録免許税が必要となる。
抵当権の抹消を司法書士に依頼する場合は、司法書士の報酬も必要となる。
●不動産売買契約書の印紙税
不動産の売買契約書に印紙を貼り、割り印を押すことで納税する。
●測量費用
土地を実測して引き渡す場合には測量費用がかかる。
●建物解体費用
古家がある土地を更地にして引き渡す場合、建物の解体撤去費用がかかる。
●譲渡所得税
物件の売却により利益が出た場合、所得税と住民税がかかる。
●その他
引っ越し費用や不要品の処分費用等も発生する。
※なお、税金に関しては、マイホームの売却の場合の特例などがありますので、事前に詳しく確認してください。
物件の権利関係などは、売却の手続きや手順に影響しますので、事前にしっかりと確認しておきましょう。確認資料として、登記記録(登記簿)や購入時の重要事項説明書、建築関係書類などが挙げられます。
■基本的な権利関係の確認
不動産に関する主な権利には、所有権、借地権(建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権など)、区分所有権(1棟の建物に構造上区分したいくつかの独立した住居や店舗などがある建物を区分して所有する時の所有権)などがあります。
物件の権利関係については、法務局の登記記録(登記簿)で調べることができます。登記記録(登記簿)の「甲区」には所有権に関する事項が記載され、「乙区」には所有権以外の権利に関する事項が記載されています。
例えば、所有権でも共有名義の場合であれば、一体で売却するには共有者全員の合意が必要ですし、一戸建ての土地が賃借権なら売却に当たって地主の承諾が必要となります。また、抵当権や差し押さえなど、不動産の売却に債権者との調整が必要な権利もあります。このように権利関係の状況は、売却の手続きに影響しますので、しっかりと整理をしておくことが必要です。
また、一戸建てで増築したことがある場合は床面積の変更登記がなされているかなど、必要な変更登記がなされているかも確認しておきましょう。
■土地の境界線の確認
土地を売買する場合、土地の境界線を明確にする必要があります。登記記録(登記簿)や公図などの書面上は元より、現地でも明らかにする必要があります。現地では、境界を示す目印(境界標)で確認します。ただし、境界標がない場合は、土地の実測作業を行った上で、隣地所有者と協議をして境界確認書を交わすなどの手続きを踏む必要もあります。境界が不明確な場合は、後で境界紛争の元になる可能性がありますので、事前に確認をしておきましょう。
■物件の瑕疵(かし)への対処
瑕疵とは、雨漏りや建物の傾き、設備の故障などの物件の欠陥などのことをいいます。物件にこのような瑕疵がある場合、瑕疵の内容とその対処を明確にした上で売却する必要があります。例えば、雨漏りなどの修復可能な瑕疵であれば、修復してから売却するという選択肢が考えられます。その場合は、売却の諸費用として修復費用を追加負担することになります。
あるいは、修復費用に相当する額を売却予定価格から差し引いた価格で売ることも考えられます。このように物件に瑕疵がある場合は、売却の諸費用や売却価格に影響する可能性があります。最終的にはその対処方法を自分で判断する必要がありますので、事前に不動産会社とよく相談するとよいでしょう。
■物件の老朽化への対処
物件の老朽化の状況についても瑕疵と同様に確認したほうがよいでしょう。建物や設備が老朽化すると見栄えも悪くなります。売却活動前にリフォームをしても、購入希望者の好みに合わないという可能性もあります。売却時にリフォームをしたほうがよいのかについても、不動産会社と相談しながら、最終的には自分で判断をしましょう。なお、リフォームをした場合は、その記録を買い主に引き継ぐことが大切です。
不動産の販売活動に当たって、まずは売り出し価格を決めなければなりません。一般的には、売り主の希望価格と不動産会社の査定価格を踏まえて、売り主が売り出し価格を設定します。売り主が早く売りたいと思えば希望価格よりも査定価格に近い価格設定を、時間がかかっても高く売りたいと思うなら希望価格に近い設定をするでしょう。売却代金の一部を買い換えなどの資金に充てる必要があるなら、その点も考慮しなければなりません。
ただし、売り出し価格で売買が成立するとは限りません。購入を検討する方も、自分の購入希望価格と不動産会社の査定価格を踏まえて、購入申込価格を設定します。実際の売買交渉においては、売り出し価格と購入申込価格の差を解消して、売買価格を決定することになります。
■売り出し価格を決める
不動産の販売活動に当たって、まずは売り出し価格を決めなければなりません。一般的には、売り主の希望価格と不動産会社の査定価格を踏まえて、売り主が売り出し価格を設定します。
売り主が早く売りたいと思えば希望価格よりも査定価格に近い価格設定を、時間がかかっても高く売りたいと思うなら希望価格に近い設定をするでしょう。売却代金の一部を買い換えなどの資金に充てる必要があるなら、その点も考慮しなければなりません。
ただし、売り出し価格で売買が成立するとは限りません。購入を検討する方も、自分の購入希望価格と不動産会社の査定価格を踏まえて、購入申込価格を設定します。実際の売買交渉においては、売り出し価格と購入申込価格の差を解消して、売買価格を決定することになります。
■内覧の準備を始める
販売活動を開始すると、購入希望者が物件の内覧に訪れます。そんなとき、掃除が行き届いていなかったり、荷物があふれて部屋が狭く見えたりしたら、せっかくの購入意欲も薄れてしまうかもしれません。不要な荷物を片づけ、掃除を念入りにしておくなど、好印象を与えられるように早めに準備をしておきましょう。
■掃除のポイント
玄 関 | 靴は靴箱にすべて入れておく。臭いがしないか確認。 |
---|---|
室 内 | 不要なものは思い切って捨てる。部屋の広さが分かるように見せるのがコツ。 |
浴室・トイレ | カビや水アカは除去しておいく。臭いがしないか確認。 |
キッチン | 最低限、油汚れは落とす。特にキッチンの汚れは、印象を悪くする可能性がある。 |
バルコニー | 不要なものは片付け、洗濯物も取り組んでおく。 |
収 納 | 見られてもいいように整理整頓しておく。 |
臭 い | 家族では気がつかないのが室内の臭い。特にペットを飼っている場合には注意する。 |
外回り | 庭や敷地内の雑草を抜くなど手入れをしておく。 |
不動産の売り出しを開始したら、売却を依頼した不動産会社は具体的な販売活動を行います。その方法としては「指定流通機構に登録する」「広告媒体に掲載する」「オープンハウスを実施する」などが挙げられます。具体的な販売活動を開始したら、物件見学などの問い合わせがあった場合に、売り主と不動産会社とができる限り早く連絡をとって対応できる態勢を整えておくと、販売活動を円滑に行うことができます。
■指定流通機構への登録
不動産会社は媒介契約に基づき、物件情報を指定流通機構に登録します。指定流通機構とは、宅地建物取引業法に基づき国土交通大臣が指定した不動産流通機構で、不動産会社間で物件情報を交換するためのコンピューターネットワークシステムを運営しています。(通称「レインズ」と呼ばれています。)指定流通機構には、全国の不動産会社が加入していますので、幅広く購入者を探すことができます。
■広告媒体への掲載
不動産会社は、物件情報検索サイトのようなインターネット広告の他に、新聞の折り込み広告やダイレクトメールなどで集客活動を行います。なお、不動産広告には、不動産業界が設定した不動産広告の表示に関する自主規制基準があります。これを「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」といい、適正な広告の表示基準を定め、誤解を招く恐れのある用語や根拠のない表現を規制しています。不動産会社の広告が、この表示規約に則っているかについては、売り主も確認をしておいたほうがよいでしょう。
■オープンハウスの開催
オープンハウスとは、誰にでも気軽に物件を見に来てもらうためのイベントです。購入希望者にとっては事前に連絡をしてから見に行く手間や煩わしさがないため、広く購入希望者を募る手段として活用されています。オープンハウスを開催するときには、事前に不動産会社が宣伝のために広告を配布する、現地看板などで案内するなどの集客活動を行います。
買取保証とは、一定期間内に物件の売却ができなかった場合に、仲介を依頼した不動産会社があらかじめ決めた価格でその物件を買い取ることをいいます。既に買い換え物件が決まっているなどの理由で、一定期間内に必ず物件を売却しなければならない場合に利用することが考えられます。
買取保証を利用した場合の買取価格は、物件ごとに個別に決められますが、一般的には不動産会社の査定価格より低くなります。どの程度の価格水準になるのかは、事前に十分確認をしておきましょう。
ただし、買取保証は必ず利用できるものではありません。また、不動産会社によって、あるいは物件によって、対応は異なることに留意しておきましょう。
具体的な販売活動を開始しても、購入希望者から問い合わせなどの反響が少なくて、販売が長期化する場合もあります。そういった場合は、販売活動の見直しが必要かもしれません。周辺の市場動向や購入希望者の反応などを踏まえて売却できない原因を分析し、不動産会社と十分に協議しましょう。
■売り出し価格の見直し
■売り出し物件の魅力
■販売活動の見直し
■オープンハウスの開催
オープンハウスとは、誰にでも気軽に物件を見に来てもらうためのイベントです。購入希望者にとっては事前に連絡をしてから見に行く手間や煩わしさがないため、広く購入希望者を募る手段として活用されています。オープンハウスを開催するときには、事前に不動産会社が宣伝のために広告を配布する、現地看板などで案内するなどの集客活動を行います。
購入希望者が現れたら、契約に向けての交渉を始めます。価格や引き渡し時期、代金の支払い日など、購入希望者が提示した条件に基づいて具体的な交渉が開始されます。
不動産会社を通して、購入希望者から「買付証明書」(購入申込書など別の名称の場合もあります)という書面が売り主に提示されます。買付証明書には、購入希望価格、代金の支払い条件、引き渡し希望日など、購入希望者の基本的な希望条件が記載されています。売り主は、購入希望者が提示した条件を確認して、具体的な交渉に入るかを決めます。その後の交渉は、売り主側の不動産会社と買い主側の不動産会社が行うのが一般的です。(同じ不動産会社が、売り主と買い主の双方から仲介依頼を受けていることもあります。)
不動産会社は、売り主、買い主の希望条件を確認した上で、これまでの経験などに基づいて解決点を見出しながら、お互いの条件を調整することになります。条件交渉では、単に購入希望者の条件をすべて受け入れたり、不動産会社の助言のままに交渉を進めたりするのではなく、自分が納得のいく条件かどうかを慎重に判断しましょう。特に、価格の条件は互いに譲れないところでしょう。不動産会社からの市場動向の情報やアドバイスを参考に、最終的には自分で判断することが大切です。また、価格の条件は、他の条件と一体で調整することもあります。例えば、建物や設備に不具合がある場合、補修を行わない代わりに売却価格を下げるといった調整も可能です。
■調整する条件の一例
※それぞれを調整するだけではなく、複数の条件を合わせて調整することもあります。
契約条件の調整が済んだら、いよいよ売買契約です。
物件や契約条件などに関する重要な事項について、不動産会社が買い主に説明します。
売り主は、そのために必要な物件情報を提供することが必要です。
宅地建物取引業法の規定により、不動産会社は、売買契約が締結されるまでの間に、買い主に対して物件や契約条件などにかかわる重要事項の説明(重要事項説明)をすることが義務づけられています。重要事項説明は、宅地建物取引主任者が内容を記載した書面に記名押印し、その書面を交付した上で口頭で行わなければなりません。買い主へ物件などに関する詳しい説明を行うことで、契約後のトラブル防止が図られています。
【重要事項説明の主な内容(売買の場合)】
不動産会社は、重要事項説明を行うために詳細な物件調査を行います。ただし、不動産会社の独自調査のみではすべての事項を調査することはできません。したがって、売り主は不動産会社に対して物件の関連書類を漏れなく提供するとともに、物件に関して知っている情報を正確に提供する必要があります。これによって不動産会社は、より精度の高い重要事項説明を行うことができますので、売り主も物件に関して少しでも気になる情報があれば、できる限り提供するようにしましょう。
不動産会社が行う物件調査の例
法務局での調査 | 登記記録(登記簿)、公図など |
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行政庁での調査 | 都市計画法や建築基準法などの法令上の制限など |
現地での調査 | 道路や敷地・建物の状況、隣地との境界線、高圧線の有無など |
インフラ調査 | 上下水道やガスの配管状況など |
売り主が不動産会社に提供する情報の例
物件関係書類 | 購入時に受領した重要事項説明書、建築時の設計図書、リフォーム時の書類、マンションの管理規約や使用細則など |
---|---|
その他の情報 | 知っている物件の欠陥(雨漏りの有無、シロアリなど)、その他売り主が気になる情報(近隣とのトラブルの有無、騒音の有無など) |
契約条件について売り主・買い主双方が合意したら、売買契約を締結します。いったん契約を締結すると、簡単に解除することはできませんので、事前に契約内容を十分に確認することが重要です。最終的に契約は、「自己責任」で締結するものであることをしっかりと理解してください。
契約は原則として自由
売り主と買い主との契約は、法令に違反する、公序良俗に反するなどの問題がない限りは自由です。逆にいえば、契約は自己責任で締結することが原則ということです。もちろん、消費者が一方的に不利益を被る契約とならないよう一定の法整備がなされていますが、すべてをカバーできるわけではありません。最終的には自己責任でしっかりと契約内容を確認した上で、契約に臨むことが重要です。なお、契約に定めがない事項については、民法その他の関係法令に従い、協議の上で決定することとなります。したがって、重要な契約条件が不明確であると、契約後のトラブルにつながってしまいますので注意しましょう。
事業者と消費者の契約については消費者契約法の適用がある
事業者と消費者との間には、情報力や交渉力等に差があることから、消費者契約法では、事業者と消費者との契約(消費者契約)を対象に、消費者保護を目的とした特別な契約ルールが定められており、不動産売買契約にも影響します。例えば、消費者が誤認などした場合には契約を取り消すことができるほか、消費者にとって不利益な条項(瑕疵担保責任など事業者の責任を免責する条項など)が無効になるなどの規定があります。
なお、消費者契約法における消費者とは個人を指しますが、個人であっても、事業のための契約などは消費者契約法の保護の対象とはなりません。あくまでも個人が事業以外の目的で締結する契約が対象です。このように、不動産売買契約にも消費者契約法の適用があることを理解しておきましょう。
手付金について理解する
不動産売買契約では、契約締結時に「手付金」と呼ばれる金銭を、買い主が売り主に支払うことが一般的です。
手付金には、
一般的に不動産売買契約では(2)の「解約手付」として授受されます。
なお、民法でも手付金の性質について特段の定めがない場合には解約手付と推定するとされています。ただし、解約手付による契約の解除ができるのは、「相手方が履行に着手するまで」とされています。つまり既に相手方が契約に定められた約束事を実行している場合には、手付けによる解除はできません。
契約を結んだら、簡単に解除できない
特に、不動産売買のように大きな取引を行う場合は、契約は売り主と買い主の信頼関係の上に成り立つ大事な約束です。そのため、いったん契約を締結すると、一般的には、一方の都合で簡単に契約を解除することはできません。契約の解除には、主に以下のようなものがあります。
手付解除 | 相手方の契約の履行に着手するまでに、手付金の倍返し、または放棄により契約を解除することができる |
---|---|
危険負担による解除 | 天災により物件が毀損した場合に、過大な修復費用がかかるときは、売り主は無条件で契約を解除することができる。 |
契約違反による解除 | 売り主または買い主のいずれかが契約に違反した場合、違約金等の支払いにより契約が解除される。 |
瑕疵担保 責任に基づく解除 |
物件に重大な瑕疵(欠陥など)が合った場合に、その瑕疵により契約の目的が達せられない場合は、買い主は無条件で契約を解除することができる。 |
特約による解除 (ローン特約など) |
特約の内容に応じて解除することができる。 例えば、「ローン特約」の場合なら、買い主に落ち度がなくても住宅ローンを受けられなかった場合に、買い主は無条件で契約を解除することができる。 |
合意による解除 | 当事者の合意に基づく条件で契約を解除することができる。 |
※上表の内容は一般的なものであり、個々の契約で契約の解除に関する取り扱いは異なります。
瑕疵担保(かしたんぽ)責任とは
「雨漏り」や「建物本体の白アリ被害」のような物件の欠陥などを「瑕疵」といいます。そのうち、買い主が売り主から知らされていなかった「瑕疵」を法的には「隠れた瑕疵」といいます。隠れた瑕疵が判明した場合、買い主は、売り主へ物件の修補や損害の賠償を求めることが可能です。また、欠陥などが重大で、住むこともままならない場合などは、契約の解除を求めることもできます。このような、物件の瑕疵に関する売り主の責任を法的には「瑕疵担保責任」といいます。
売買契約では、売り主が瑕疵担保責任を負うか否か、負う場合は物件の引き渡しからどのくらいの期間、責任を負うのかなどが取り決められます。ただし、物件の隠れた瑕疵をめぐるトラブルは非常に多いことから、売り主は物件の瑕疵について誠実に情報提供をする、買い主は十分に物件を確認することで、契約前に瑕疵を明らかにしていくことが重要です。
なお、売買契約に、瑕疵担保責任の定めがない場合は、民法の規定に基づきます。民法の規定では、売り主の瑕疵担保責任の期間が限定されないことから、一般的に売買契約では、売り主が瑕疵担保責任を負う期間を明確にします。なお、期間の定めがない場合には、売り主が瑕疵担保責任を負うのは、買い主が隠れた瑕疵を知ってから1年以内と定められています。
※右側にある画像をクリックすると拡大表示されます
動産の売買契約は、一般的には契約書を作成して取り交わします。また宅地建物取引業法でも、不動産会社(宅地建物取引業者)に対し、契約が成立したら遅滞なく契約内容を記載した書面を、宅地建物取引主任者に記名押印させた上で交付することを義務づけています。
以下に、売買契約の一般的な項目とそのチェックポイントを紹介します。ただし、個別の契約によって取り決めの内容と確認するポイントが変わりますので留意してください。
(1)売買物件の表示
売却物件の表示に誤りがないかを確認します。一般的には、登記記録(登記簿)に基づいて契約書に表示されます。売買対象となる物件が明確であることが、売買契約の大前提です。
(2)売買代金、手付金等の額、支払日
売買代金や手付金等の金額と買い主の支払日をしっかりと確認します。また、手付金については、その取り扱いをしっかりと確認します。手付金がどのような手付け(解約手付、証約手付、違約手付)であるのか、金額は適当か(売買代金の何割程度か)などを確認します。手付けが解約手付であれば、いつまで手付解除が可能であるかについても確認しましょう。
(3)土地の実測及び土地代金の精算
土地の面積は、登記記録(登記簿)に表示された面積と実際の面積が違うことがあります。したがって、売り主が引き渡しまでの間に土地の実測を行うことも多いようです。実測の結果、登記記録(登記簿)の面積と実測した面積が違う場合は、その面積の差に応じて、売買代金を精算します。(実測をするのみであえて精算しないこともあります。)一般的に、売買代金の精算は、当初の売買代金と当初の売買面積(登記記録(登記簿)上の面積)に基づく1㎡当たりの単価を用いて行われます。
なお、隣人とのトラブルがある場合などは、実測と隣地との境界確認が遅延する場合もありますので、実測作業が期日通りにできない場合の対応を協議したほうが望ましいでしょう。
(4)所有権の移転と引き渡し
所有権の移転と引き渡しの時期を確認します。引っ越しの予定などを踏まえて、問題ないか判断します。所有権移転と引き渡しは代金の支払いと引き換えに行われますが、不動産取引の実務では、代金支払いの場で、所有権移転登記に必要な書類や鍵などが買い主に引き渡されることで完了することが多いようです。
(5)付帯設備等の引き継ぎ
特に、中古住宅の場合は、室内の照明やエアコンなどの設備、敷地内の庭木や庭石などの引き継ぎについて明確にしておく必要があります。このような付帯設備等の引き継ぎをめぐるトラブルは意外と多く発生しますので、契約前に、何を引き継いで何を撤去するのかを買い主との間で十分に調整する必要があります。また、引き継ぐ設備等が故障していないかなど、その状態も事前に確認しましょう。契約に当たっては、付帯設備等の一覧表を用いて一つ一つ確認することが多いようです(このとき用いる一覧表は「物件告知書」「物件状況確認書」などといわれています)。
(6)負担の消除
売却物件を完全な所有権で引き渡せるかを確認します。例えば、抵当権や賃借権など、所有権の完全な行使を阻害するような権利は、売り主の責任によって除かれた状態で引き渡します。このような権利の整理ができない場合には予定通り引き渡せない場合がありますので注意が必要です。
なお、投資用物件の売買では、テナントとの賃貸借契約に限って買い主に引き継ぎます。この場合は引き継ぐ権利と引き継がない権利を明確にする必要があります。
(7)公租公課等の精算
不動産売買契約では、固定資産税や都市計画税といった公租公課を売り主と買い主の間で精算することが一般的です。その他、管理費などの費用を精算することもあります。精算は引き渡しの日を基準に、日割りで行われることが多いようです。
(8)手付解除
何らかの突発的な事情により契約を解除せざるを得ないときに、手付解除することがありますので、どのような取り決めとなっているか確認します。もちろん、当事者間の合意で、手付解除を認めない契約としたり、手付解除が可能な期間を限定することも可能です。手付けの金額は、一般的に売買代金の20%までの範囲で設定することが多いようですが、手付金が少額である場合には、自分が解除するときの負担は小さくなる一方、相手に解除されるリスクも高くなります。逆に手付金が多額である場合は、自分が解除するときの負担は大きくなりますが、相手方に解除されるリスクは低くなります。手付解除に関しては、手付金の額も併せて確認しましょう。
(9)引き渡し前の物件の滅失・毀損(きそん)(危険負担)
売買契約締結後に、天災で建物が全壊するなど、売り主にも買い主にも責任のない理由によって、売却物件が滅失・毀損した場合の取り決めです。不動産売買では、一般的には、売り主が物件を修復した上で、物件を引き渡すこととなります。ただし、物件の修復に過大な費用がかかるとき、または、物件が滅失・毀損したことにより買い主が契約の目的を達せられないとき(例えば、とても住む状態には修復されないなど)は、契約を無条件で解除することができます。万が一の場合の取り決めですので、しっかりと確認しましょう。
(10)契約違反による解除
契約違反(つまり約束違反、これを法的には「債務不履行」といいます)により契約を解除するときの取り決めです。売り主または買い主のいずれかが債務不履行となった場合には、その相手方は契約を解除することができます。このように契約違反によって解除となった場合には、契約に違反した者が違約金等を支払うことが一般的です。違約金等はおおむね売買代金の20%までの範囲で設定されることが多いようです。契約に違反することを前提として売買契約を締結するわけではありませんが、万が一のことがありますので、事前にしっかりと確認しましょう。
(11)ローン特約
買い主に責任がないにもかかわらず住宅ローンの借り入れができなかった場合、買い主は売買代金を支払うことができず、最終的には契約違反となってしまいます。このような状況は買い主には酷ですので、買い主が住宅ローンを利用して住宅を購入する場合、売買契約にローン特約を付すことが一般的です。買い主は、住宅ローンの審査が不調に終わった場合に、売買契約を無条件で解除することができます。ただし、買い主がローン審査に必要な手続きを怠った場合など、買い主の落ち度でローンを借りることができなかった場合には、この特約は適用されません。売り主は、買い主の資金調達が不調であった場合には、契約を解除されるリスクがありますので、買い主の信用力にもできるだけ留意して契約することが大切です。
(12)瑕疵担保(かしたんぽ)責任
売買物件に、隠れた瑕疵(欠陥など)が発覚した場合、売り主は物件の修補や損害を賠償する義務を負います。また、瑕疵が重大で、住むこともままならない場合などは、契約を解除されることもあります。売買契約では、売り主が瑕疵担保責任を負うか否か、負う場合は物件の引き渡しからどのくらいの期間で責任を負うのかなどが取り決められます。瑕疵担保責任の期間が短いほど買い主に不利となり、逆に長いほど売り主に不利となります。隠れた瑕疵をめぐるトラブルは非常に多いことから、しっかりと契約内容を確認しましょう。
契約内容について納得したらいよいよ売買契約の締結です。売り主と買い主が集合し、売買契約書を読み上げて契約内容の最終確認をします。その上で、契約書に署名・押印し、手付金等の授受を行います。手付金等は、現金や指定口座への振り込みのほか、預金小切手で受け取る場合もあります。
また、不動産会社が仲介に入っている場合は、契約時に仲介手数料を支払うことも多いようです。契約手続きに漏れがあると、売買契約が締結できないことで、買い主をはじめとして関係者に迷惑をかけてしまいますので、しっかりと準備をした上で契約に臨みましょう。
手付金等 | 手付金等の領収書 ※代金の20%以内が一般的(現金・振り込み・預金小切手など) |
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印 紙 | 売買契約書に貼る。 代金が1,000万円超5,000万円以下の場合の印紙代は1万5,000円 |
印 鑑 | 実印であることが多い |
不動産会社への仲介手数料 | 媒介契約書であらかじめ取り決めた金額(現金・振り込み・預金小切手など) ※必ず領収書を受け取る |
売買契約を締結すると、売り主には、所有権移転と物件の引き渡しなどの義務が生じます。
これらの義務を期日までに果たすことができなければ、債務不履行(約束違反)で違約金の支払いを求められることもありますので、しっかり準備をする必要があります。
引き渡しまでには、様々な準備をしなければいけません。専門家へ依頼することもありますので、準備すべきことをしっかりと整理しておくことが重要です。引き渡しの準備で不明な点があれば、速やかに不動産会社に相談しましょう。各種費用の精算準備、引き渡し書類などの整備などたくさんのことをしなくてはなりません。
所有権移転登記の準備
一般的に登記申請は司法書士に委任しますので、司法書士や不動産会社に必要書類をしっかりと確認して、漏れのないよう準備します。この準備を怠ると、契約書で約束した期日に所有権移転登記ができませんので、十分に注意してください。
特に、登記記録(登記簿)に記載された内容と事実が異なる場合(登記記録の住所と現住所が違うなど)や、登記識別情報または権利証を紛失してしまった場合などは、所有権移転登記に特別な手続きが必要となります。これらの手続きには時間がかかることもありますので、極力早く準備に着手することが大切です。
抵当権の抹消の準備
売却物件に抵当権が設定されている場合は、ローンを借りている金融機関に残債額の確認をして、ローンの全額返済と抵当権抹消のための準備を進めます。特に、抵当権抹消にかかる金融機関のスケジュールと引き渡しのスケジュールをしっかりと調整することが重要です。事前に、金融機関や不動産会社とよく相談しておくとよいでしょう。
土地の実測や境界確認
一般的に土地家屋調査士に依頼します。境界の確認は隣地所有者も立ち会った上で行いますので、しっかりと対応しましょう。特に、境界がよく分からない、境界から越境しているものがある、隣人とトラブルがあるなどの場合は、境界確認が不調となることもありますので、早めに準備する必要があります。
現地確認
原則として引き渡しまでに、売り主、買い主、不動産会社が立ち会って、現地の確認をします。隣地との境界、付帯設備の引き継ぎ、物件の修復が契約条件になっているときはその確認など、契約で約束した事項について、引き渡し後にトラブルが発生しないよう十分に確認してください。
引っ越し
引き渡しまでに退去を済ませるのが原則です。什器・備品等の付帯設備の引き渡し条件をしっかりと確認した上で、買い主に物件を確実に引き渡せるよう準備をします。特に、賃貸中で賃借人の退去が条件となっている場合は、賃借人や管理会社と十分に調整した上で、確実に引き渡しができるようにしましょう。賃借人の退去をめぐって引き渡しが遅れることもありますので十分な注意が必要です。また、ガス・水道・電気等の公共料金の精算についても、不動産会社に確認しながら準備をします。
その他
他にも次のような準備がありますので、不動産会社に確認の上、漏れのないよう対応しましょう。
売り主が事前に準備する主なもの
●登記関係書類
・所有権移転登記の関係書類等(登記を書面申請する場合)
登記識別情報または権利証、印鑑証明書(登記申請日時点で発行後3ヶ月以内のもの)、住民票、固定資産評価額証明書、司法書士への委任状など
・抵当権抹消登記に必要な関係書類等
※登記関係書類等は司法書士等の専門家に確認しましょう。
また、登記をオンライン申請する場合は準備するものが異なります。
●実印(登記関係書類に押印する)
●登記費用
●実測図や境界確認書(必要な場合のみ)
●残代金や各種精算金等の領収書(口座振込の場合は振込控えで代替する場合もある)
●建築関係書類、物件の鍵等の買い主へ引き継ぐべきもの一式
●仲介手数料(媒介契約書の支払条件に基づいて準備する。不動産会社からは領収書を受け取る)
一般的に、売り主による所有権の移転と物件の引き渡し義務と、買い主による残代金を支払う義務は同時に履行します。
引き渡し時に買い主が用意するもの
まず買い主から売り主へ残代金を支払います。住宅ローンを利用する場合は、ここでローンが実行されます。残代金を受け取ったら、売り主は買い主に対して残代金の領収書と所有権移転登記に必要な書類一式を引き渡し、一般的には司法書士が所有権移転登記を申請します。(売却物件に抵当権が設定されている場合は、抵当権抹消の登記も同時に申請します。)この場合、登記費用は司法書士に支払います。
公租公課等の精算
公租公課(固定資産税と都市計画税)、管理費などについては、引き渡し日の前日までを売り主の負担、引き渡し日以降を買い主の負担として、日割り精算するのが一般的です。買い主から精算金を受け取ったら領収書を受け渡します。
その他必要書類等の引き渡し
実測図や建築関係書類、物件の鍵、付帯設備の保証書・取り扱い説明書、その他の書類等を売り主から買い主へ引き渡します。必要書類等の引き渡しと引き換えに「引き渡し確認書」などを受け取ることも多いようです。
仲介手数料の支払い
引き渡しが完了したら、不動産会社と結んだ媒介契約に基づいて、仲介手数料を支払います。不動産会社から領収書を受け取ります。
不動産を売却したことによる利益は、所得税等の課税対象となります。
ただし、マイホームの売却には様々な税制上の特例などがありますので、確認しておくとよいでしょう。
譲渡益にかかる譲渡所得税
不動産の売却によって得た譲渡益については、譲渡所得として所得税と住民税が課税されます。ただし、マイホームのような居住用財産の場合、様々な特例や控除があります。主なものは、3,000万円の特別控除、買い換えの特例、マイホームを売却した場合の軽減税率の特例などです。それぞれの特例には適用要件があり、重ねて利用できるものと選択が必要なものがあります。適用に当たっては詳細な検討を要することがあるため、最終的には税務署や税理士に相談しましょう。
譲渡損失が出た場合の特例
常は、不動産の譲渡損失を他の所得と損益通算することはできません。ただし、マイホーム(居住用財産)の売却や買い換えで譲渡損失が出た場合に、一定の要件を満たす場合、譲渡損失を他の所得から差し引くことができる「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」が受けられます。
土地の実測や境界確認
一般的に土地家屋調査士に依頼します。境界の確認は隣地所有者も立ち会った上で行いますので、しっかりと対応しましょう。特に、境界がよく分からない、境界から越境しているものがある、隣人とトラブルがあるなどの場合は、境界確認が不調となることもありますので、早めに準備する必要があります。
確定申告を忘れずに
不動産を売却して譲渡益があるため納税しなければならない、または、納税の必要はないけれど特例の適用を受けたいという場合には、売却した翌年に、所轄の税務署で確定申告を行う必要があります。(申告期間は原則として2月16日〜3月15日)早めに税務署や税理士に相談するなどして、忘れずに確定申告しましょう。
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