不動産所得、事業所得、山林所得のある人が、所得税の確定申告をするときの手続きのひとつ。申告用紙が青かったことから青色申告といわれる。青色申告をするには、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出し、一定の様式の帳簿を備えつけて記録・保存をする必要がある。青色申告には「青色申告特別控除」や「事業専従者給与の必要経費算入」「損失の繰越」など、白色申告にはない特典がある。
住宅などを新築したり購入する場合に、建築費や購入代金のうち金融機関からの借金で支払う金額を除いた部分のこと。本来は、引渡しまでに現金で用意しなければならない自己資金の一部になるが、頭金相当額を身内の借金や社内融資などで賄うこともある。頭金不足の人向けに、分譲住宅の売主が通常のローンに加えてノンバンクなどの「頭金クレジット」を付けることもある。なお頭金には分割払いの最初に支払うお金という意味もある。
メーカーや販売会社などが消費者に対して一定期間の無償修理の保証をすることで、法的な定めではなく、営業対策や顧客サービスとして自主的に行うもの。それぞれの業界団体ごとに一定のガイドラインを設けている。業者によって内容が異なるが、大手の住宅メーカーでは50〜60年の超長期保証を独自に実施している例もある。期間の長さだけでなく、定期検査やサービス体制の充実度などが、業者選びのポイントのひとつになる。
管理運営の方式の一つ。管理の主体は管理組合だが、具体的な実務を管理組合自身でやる手間は大変。そこで現在のマンションの多くは管理業務を管理会社に委託している。業務全般をまかせてしまうのが全面委託管理。業務の一部、たとえば設備の保守点検、管理員業務など、特定のものを任せるのが部分委託管理になる。全面委託は、住民が管理に無関心になりがち。また委託の程度によって管理会社に払う手数料が違い、管理費も変わる。
媒介契約の一種で、複数の業者に重ねて仲介を依頼できるもの。並行して依頼している業者にほかの業者を明らかにする義務のある「明示型」と、伏せておける「非明示型」がある。一昔前は媒介契約といえば「非明示型」が多かった。自分で発見した相手と取引することも可能。売り手にとっては有利な条件で取引できる機会が増えるメリットがあるが、業者側から見るとほかの業者に先を越されるおそれがあり営業活動で熱意に欠ける面がある。
建築基準法や都市計画法などに違反している建築物のこと。一般に「違法建築」という。本来、法律に適合しない建物は建築できないが、建ぺい率・容積率の違反、接道義務違反などは珍しくない。建築確認を受け付ける特定行政庁は、違反建築物を発見した場合には、建物の取り壊し、改築、修繕、使用禁止などの是正命令を出し、違反事実を公示できる。また緊急の場合は、特定行政庁が任命した建築監視員が工事施工の停止を求められる。
売買契約で、契約当事者の相手方に債務不履行があった場合に損害賠償を請求できる。実際の損害額にかかわらず、その賠償額をあらかじめ契約の際に決めておくことを「損害賠償の予定」といい、予定した賠償額を「違約金」という(違約金を損害賠償とは別の経済的制裁とする考え方もある)。売主が不動産会社などの宅建業者で買主が個人の場合は、賠償額を含む違約金の総額が代金の2割を超えてはならないと法律で決められている。
資産運用や投資に対するリターン(成果)のひとつで、資産を手放さずに安定的・継続的に得られる収益(所得)のこと。株式投資の場合は配当金、預貯金などの場合は受取利子(利息収入)、投資信託などの場合は収益分配金、不動産の場合は賃料収入などを指す。元本に対する1年間のインカムゲインの割合をパーセンテージで表したものが「利回り」で、収益性の指標になる。インカムタックス(income tax)は所得税。
不動産売買契約や借地権の設定契約、工事請負契約、ローン契約などの契約書を作成するときに、取引金額に応じて課税される。作成した契約書1通ごとに所定の印紙をはりつけて、消印することで納税する。いわゆる領収書の印紙も同じ。納税の義務は契約の当事者双方にあり、不動産取引では2通作ってそれぞれ折半するのが一般的。印紙税を納めなくても契約の効力には何ら影響しないが、納税しないと印紙税法上の罰則がある。
インフラストラクチャー(infra-structure)の略。直訳すると「下部構造」となるが、一般に、都市における生活や経済活動を支える基盤となるもろもろの施設を指す。具体的には、自動車の道路、鉄道、港湾施設、上下水道、電気ガスなどのこと。電話回線、CATV、光ファイバーなどの通信回線、インターネット自体もインフラの一種といえる。インフラの整備状況によって、都市の成熟度、発展性が変わってくる。
購入代金を何度かに分けて支払う時に、代金の一部を前払いするものを一般に「内金」または「内入れ金」という。たとえば、取引する不動産に付いている抵当権を売主に抹消してもらうためなど、売主に契約履行の準備を促すために買主が協力するという意味で支払う場合が多い。引き渡しまでに支払う中間金などもこれに当たる。手付金とは必ずしも一致しない。金額的に代金の4分の1から2分の1程度と大きくなるケースがある。
中古一戸建てや中古マンションの物件広告などに出ている価格のことを「売出価格」という。
新築分譲の販売価格とは少しニュアンスが違う。というのは、中古の場合、売主は個人であることのほうが多い。
仲介会社に査定を依頼し、その結果出た査定価格に、いくらで売りたいかという売主の希望を考慮に入れて、最終的に売出価格を決めるという流れだ。急いで売りたい時は少し低めに、余裕のある時は高めの価格で出すこともある。
取引態様の1つで、買主にとって売買契約を結ぶ相手のこと。新築マンションや建売住宅の場合は、不動産会社(宅建業者)が売主。中古住宅の場合は、個人が売主のケースが多い(不動産会社の場合もある)。
通常は、不動産の売主と所有者は同じだが、時には所有者の代理人が売主になっていることもある。
登記簿上の所有者と売主が一致していない場合は、売買契約の際、売主が所有者からの委任状を持っているかを確認することが重要。
Sはスケルトン(Skeleton)の頭文字で「骨組み」「骨格」という意味。住宅では柱や梁などの基本構造部分(構造躯体)のこと。Iはインフィル(Infill)の頭文字で、住戸の中にある内装や間仕切りの造作などのこと。
耐久性が高いスケルトンと、ライフスタイルの変化に合わせて柔軟に変更できるインフィルをはっきり分離することによって、物理的にも社会的にも長持ちする住宅を目指したものを「SI住宅」という。
商品を売買するときに、売主と買主との間に立って代金の決済代行を含めて安全な取引をサポートする第三者機関のこと。「escrow」は「寄託」という意味。もともとアメリカでは不動産取引に利用され発達してきた。現在では、インターネットのオークションで、出品者と落札者の間の代金と商品の受け渡しをバックアップするシステムとして普及している。料金は取引金額ごとの設定、または配送料込みで距離に応じた金額になる。
中古マンションや一戸建てを販売する時の手法のひとつ。中古住宅の売却では、購入希望者から予約を受けて個別に見学してもらうのが一般的。これに対して新築マンションのモデルルームと同じように、誰でも見られるように売却する住戸を開放しておくことをオープンルーム、またはオープンハウスという。オーナーがすでに転居して空室になっている場合が多いが、まだオーナーが住んでいるときに実施する場合もある。
暖房、給湯、調理などの熱源を含めて、すべてのエネルギーを電力でまかなう住宅のこと。
オール電化向けの機器には、クッキングヒーター、貯湯式給湯器、蓄熱式暖房機器などがある。
ガスや石油などの燃焼に伴って発生する有害物質や水蒸気が出ないため、室内空気を比較的清浄に保てるのが特徴とされる。エネルギー・コストは、電力各社が扱う「季節別時間帯別電灯割引」や「全電化住宅割引」などを活用することで低減できる。
新築一戸建てやマンションで、標準仕様とは別に、特別仕様として用意されている建材や設備を一般に「オプション」と呼ぶ。普通の窓を出窓に交換したり、外装や内装などの仕上げ材をグレードアップするなど、標準仕様のものと差し替える場合と、収納キャビネットや設備機器類を追加する場合がある。外壁と同素材のバルコニーなど、一見「標準仕様」にみえるものがオプションになっているケースもあるので、よく確認を。
買い換えで先に購入物件を決めた場合、残金決済までに自宅が売れなければ代金の支払いができない。そんなケースに備えて、購入物件の売買契約書に「予定の期日までに自宅が○○万円以上で売れない場合は、契約を白紙撤回する」旨の特約条項を入れること。予定の期日と金額を明記しておくことがポイント。売主にとっては売却の時機を逸するなどのリスクになるので、必ずしも同意してくれるとは限らない。双方の話し合いで決める。
不動産を売って、一定の期間内に代わりの不動産を買うこと、つまり買い換えを行った場合、売却した不動産に対する譲渡税を繰り延べるという制度。マイホームの買い換え特例、事業用財産の買い換え特例などいくつかの種類がある。「課税の繰り延べ」というのは、あくまでも買い換えた時点では「譲渡がなかったものとみなす」ということ。課税時期を先に伸ばすだけで、次に売却するときにはあらためて課税されることに注意。
住宅などの敷地内で、建物の周りに作られる塀や生け垣、門扉、車庫、庭、アプローチなどのこと。植栽も含まれる。エクステリアと同様の意味。外構工事の費用は、注文建築の場合の建築費には含まれていないのが一般的。最初からきちんと作り込む場合と、塀や車庫など必要最低限の工事だけ済ませ、あとの植栽や庭づくりなどはおいおい手を入れていく方法がある。建売住宅では、どこまでが価格に含まれるのかをよく確認すること。
有価証券の投資運用に関する「投信法(証券投資信託及び証券投資法人に関する法律)」が改正されたもの。運用対象が「主として有価証券」に限定されていたものが不動産などの資産に拡大された。2000年5月改正、同11月施行。投資信託制度は、2種類の信託型(認可を受けた委託業者が主導する委託者指図型と、信託銀行と直接契約を結ぶ委託者非指図型)、ファンドごとに投資法人を設立する会社型の計3つのタイプになった。
建築物の建築などを目的に、土地の区画を分割・統合したり、造成工事をしたり、農地から宅地へ地目を変更するなど「土地の区画形質の変更」をすること。三大都市圏の既成市街地や近郊整備地帯の市街化区域では原則500平方メートル以上、そのほかの市街化区域では原則1000平方メートル以上の開発行為を行う場合は、都道府県知事の許可が必要になる。未線引き区域では原則3000平方メートル以上、市街化調整区域では規模に関係なく開発許可が必要。
一定の宅地開発を行う業者などに対して、公園や保育所・学校などの公共施設を整備すること、または開発者負担金を課すことを定めた規定のこと。都市部の地方公共団体の多くが明文化している。乱開発の防止、急激な宅地化・住宅建設に伴う市区町村の財政負担悪化に対抗するために定められたもの。ワンルームマンションなど特定の建築物に関する指導要綱もある。開発者負担金は販売価格上昇につながるという批判も出ている。
一度売却した不動産でも、売主が一定期間以内に売却代金と契約にかかわる費用を買主に返還することで取り戻すことができる制度。民法で規定されている。所有権移転登記と同時に「買戻し特約」を登記することで効力が発生する。売主が買戻し権を行使できる期間は最長10年以内。期間を定めなかったときは5年以内で、更新はできない。買戻し特約のついた不動産を転売した場合、買い受けた購入者にも買戻し権を行使することができる。
手付金の性格の1つ。売買契約の相手方が契約の履行に着手する前までは、手付金を支払った買主が手付金を放棄するか、売主が手付金の2倍の金額を買主に返すことで自由に契約を解除できるというもの。前者を「手付流し」、後者を「手付倍返し」ともいう。履行の着手というのは、買主の場合は代金の一部を内金として支払った時点、売主の場合は引き渡しの日程を決めて残金決済と登記手続きの準備をした段階などがそれに当たる。
取引をした建物が本来備えているべき品質や性能を欠いている状態のこと。いわゆる欠陥、キズモノを意味する法律用語。故意の手抜き工事でなくても瑕疵(かし)が発生する場合があるが、入居者の使用上のミスによる故障や経年変化による劣化は瑕疵とはいえず、その区別は必ずしも明確ではない。欠陥トラブルが起きた時も瑕疵か否かの認定が難しい。また、売買契約で買主の知り得ない隠れた欠陥があった場合のように法律上の瑕疵もある。
購入したり新築した住宅に、引き渡しの時には気づかなかった欠陥=瑕疵があった場合に、一定の期間中に売主や施工会社の責任を追及できること。売買契約では、瑕疵を知ってから1年以内なら売主に損害賠償や契約解除を要求できる。請負契約では引き渡し後、5年間(マンションなどは10年間)は施工会社に修繕・補修の請求が可能。従来はこの期間を特約で短縮していることが多かったが品確法で長期保証が義務づけられた。
壁面や床板などの平面的な構造材を組み合わせた、柱を持たない箱状の骨組のこと。板状の薄い壁梁は付くが、柱や梁型が室内に出っ張らないので、すっきりした空間ができる。ただし、壁で構造を支えるために、室内空間に耐力壁(構造壁)を設ける必要があり、ラーメン構造に比べると空間構成の自由度は低く、大空間はできない。通常は、鉄筋コンクリート造で5階建て以下の中低層マンションに多い。規模も比較的小さい。
建物の平面図のなかで、地震や強風に対して抵抗するのに必要な耐力壁の長さのこと。東西方向、南北方向、それぞれの方向ごとに出す。ある方向の壁量を床面積で割った値を「壁率」という。木造の場合、材料や仕様によって耐力壁の強度が変わるため、壁率計算には同じ強度の壁量に調整する必要がある。その調整に用いる数値が「壁倍率」。また、建物の階数や荷重の大小に応じた必要壁率が建築基準法施行令46条の規定にある。
現在借りているローンを、より金利の低いローンに切り換えること。公的融資を銀行ローンに、またはA銀行からB銀行へ換えるパターンがある。以前は物件の担保評価がローン残高より低いと借り換えられなかったが、最近は、担保割れが1000万円までなどと一定の範囲以内であれば借り換えが可能な銀行も増えてきた。借り換えは、前のローンを精算して新たにローンを組むのと同じなので、抵当権設定登記などの諸費用がかかる。
所有権保存登記や所有権移転登記などの本登記をする前に、あらかじめその順位を確保するために行う予備的な登記のこと。一定の要件がそろったときに本登記を請求できる。たとえば売買の予約をしている場合は、登記簿に「所有権移転請求権仮登記」といった形で記されている。仮登記のある不動産を第三者が購入して所有権移転登記をすることは可能だが、もともとの仮登記の権利者が本登記をした場合には、第三者の所有権は抹消される。
環境への負荷を抑えるために、省エネルギーや再生可能エネルギーの使用、資源の再利用、廃棄物の削減などの対策を採った住宅のこと。国土交通省が普及を進めるプロジェクトのひとつ。具体的には、屋上緑化や雨水の再利用、太陽光・風力エネルギーの利用、ゴミの減量などの要素が含まれる。(財)建築環境・省エネルギー機構の「環境共生住宅認定制度」に適合すると、広告などで「環境共生住宅」と謳える。
住宅ローンの返済方式の1つで、文字どおり、返済額に占める元金の金額が一定のタイプ。利息のみが変化する。元金と利息を合計した返済額は、返済を始めた当初が高く、返済が進むとだんだん低くなる。後になるほど負担が軽くなるしくみ。金利や返済期間が同じ場合、元利均等返済に比べて元金の減り方が早く、支払利息の総額も少なくなる。たとえば、共働き夫婦などで、収入が多くて余裕があるうちに多めに返して、後で楽をしたいという人に向いている。
住宅などの敷地内で、建物の周りに作られる塀や生け垣、門扉、車庫、庭、アプローチなどのこと。植栽も含まれる。エクステリアと同様の意味。外構工事の費用は、注文建築の場合の建築費には含まれていないのが一般的。最初からきちんと作り込む場合と、塀や車庫など必要最低限の工事だけ済ませ、あとの植栽や庭づくりなどはおいおい手を入れていく方法がある。建売住宅では、どこまでが価格に含まれるのかをよく確認すること。
マンションの建物の形の一つで、各住戸を少しずつ前後にずらして配置する形。雁が隊列を組んで空を飛ぶときの形に似ているために、この名称が付いた。単純な長方形の「ようかん型」の場合、角住戸は3面(3方向)に開口部を取れるが、中住戸は外廊下側とバルコニー側の2面しか開口部を取れない。雁行型は中住戸でも3面開口が可能になり、角部屋が増える。ただし雁行の仕方によっては隣接する住戸の壁で影ができることがある。
マンションの管理には2つの要素がある。1つは建物のメンテナンスのことで、共用部分に当たる建物や設備の
マンションやビルなどの建物の維持管理業務を受託して運営する会社。マンション管理法で国への届け出が義務づけられている。マンション管理業を中心にするデベロッパーの子会社や系列会社の場合と、ビル管理業や清掃請負業などが母体になった独立系の場合がある。なお、賃借人との折衝や家賃の出納などの賃貸経営に関する業務を家主から受託する賃貸不動産管理業を主に行っている場合は「賃貸管理会社」という。
マンションの管理運営についての基本的な規則を取り決めたもの。専有部分と共用部分の範囲、管理組合や理事会の位置づけ、総会の議決権や決議の仕方などが含まれる。共同生活の細かいルールについては使用細則に盛り込まれている。新築マンションには初めから管理規約が作られているが、管理組合の話し合いで改正できる。たとえば集会室や管理事務所は規約共用部分と呼ばれており、規約を変えて専有部分にすることも可能。
住宅ローンの返済方式の1つで、元金と利息を合計した返済額が一定になるタイプ。毎月の返済額が変わらないので、計画的な返済が可能になる。ただ、各回の返済額の内訳、つまり元金と利息の割合は右図のように変化する。返済が始まった当初は利息の占める割合が高く、返済が進むにつれて利息分が減って元金の割合が高くなる。元金の減り方が遅いため、初期のころに売却すると、ほとんどローン残債(残っている元金)が減っていない。
マンションの敷地と建物のうち、共用部分を維持管理するためにかかる費用を、1戸当たり1か月分に割り振った金額を「管理費」という。費用の内訳は、建物・設備の定期的な保守点検費用、管理員の人件費、清掃委託費、共用部分の水道光熱費・損害保険料、管理組合運営費など。委託管理の場合は、これに管理会社への委託手数料が加わる。管理費のレベルは委託の内容や、マンションの規模、共用設備の仕様などによって異なる。
建築確認を受けたすべての建築物は、工事完了後4日以内にその旨を都道府県などの建築主事または指定確認検査機関に届け出て、建築基準法と関連規定に適合しているかどうか検査を受ける必要がある。これを「完了検査」と呼ぶ。完了検査に合格すると「検査済証」が交付され、建物の使用が可能になる。なお、この検査済証は、住宅金融公庫融資を受けるための必要書類の一つで、民間金融機関でも求められる場合がある。
公示地価と並ぶ公的な地価指標のひとつ。都道府県知事が、国土法による土地取引の規制をスムーズに進めるために調査して公表するもの。毎年7月1日時点に各都道府県ごとに地価調査を行い、9月中旬に国土交通省がまとめて発表する。公示地価と同様に、住宅地、商業地、工業地などの用途地域ごとに、各地区の基準地(市街化区域では1平方キロメートルに1地点)が選ばれ、1平方メートル当たり単価で表示される。
ものごとが成り立つ前提になるもの。建築物では、建物の重さを地盤に伝えるために最下層に設ける構造部分のこと。住宅の基礎は、地盤の上にそのまま載せる「直接基礎」と、円筒状の杭で支える「杭基礎(深基礎)」の2種類。地盤の良いところでは直接基礎、軟弱地盤では杭基礎が一般的。ただ、小規模な一戸建て住宅の場合は、軟弱地盤でも杭基礎ではなく、地盤改良をして布基礎やベタ基礎などの直接基礎にすることが多い。
建築した時には建築基準法などの法律に適合していたのに、その後の法律や条例の改正、新しい都市計画の施行などによって違法状態になってしまった建築物のこと。違反建築物とは区別される。そのまま使う分には問題はない。一定規模以上の建て替えや増改築をする場合は改正後の法律に合わせなければならないので、建物面積が小さくなったり、建築自体ができなくなることもある。広告にも「再建築不可」などと記載する必要がある。
株式や不動産などの資産を売却した時に得られる差益のこと。「値上がり益」「売却益」「譲渡益」ともいう。税務上は「譲渡所得」で、一般の給与所得や事業所得などとは別に分離課税される。特に個人の株式譲渡益課税のことを「キャピタルゲイン課税」と呼び、申告分離課税が原則。値下がりして損失が出た場合は「キャピタルロス」。「Capital」の意味は資本または元金。
借金を返さなかったり、購入した代金を支払わないなどの債務を履行しない債務者に対して、裁判所を通して強制的に取りたてる手続き。不動産の場合は競売にかけて換価すること(強制競売)。その前提になるのが差押え。強制執行の申し立てには、権利の存在を明確にするための「債務名義」と呼ばれる公文書が必要。確定判決、仮執行の宣言付き判決、和解調書など。なお、担保権の実行によるものは任意競売という。
家主や地主が家賃・地代を受け取らない時に、法務局などの供託所に金銭を預けること。賃料の値上げ要求に反対して、従前の金額を支払おうとしても家主が受け取りを拒否する場合など、債務不履行で不利益を得ないための手段になる。厳密には、このタイプを「弁済供託」といい、他に民事執行手続きに伴う「執行供託」、損害を担保するための「保証供託」、公職選挙法による立候補や商号の仮登記のための「没収供託」がある。
1つの財産を1人で持っている単独所有に対して、1つの財産を複数の人で共同所有することを共有という。不動産を共有する場合は、共有者それぞれが負担した割合(出資比率)に応じて持ち分(共有持ち分権)を登記する。これが「共有名義」。共有者は単独で自分の持ち分を第三者に売却することができる。ただし民法では、住宅を建て替えたり売却するなど、共有物全体の変更や処分の場合には共有者全員の同意が必要とされている。
マンションの建物のうち、専有部分以外の部分のこと。コンクリートの骨組み、エレベーター・受水槽などの設備、外廊下やエントランスなど、居住者が共同で使う対象はすべて共用部分。バルコニーや専用庭は専有部分と勘違いしやすいが、いずれも共用部分の専用使用部分になる。また、区分所有法で決められて変更できない「法定共用部分」と管理規約で決められる変更可能な「規約共用部分」がある。所有権は区分所有者全員の共有。
都市銀行や地方銀行、信託銀行の扱っている民間住宅ローンのこと。90年代半ばまでの銀行ローンは、どの金融機関でも内容は横並びだった。その後の金融緩和によって急速に多様化。金利タイプには、長期固定型、固定金利期間選択型、変動型、上限金利設定型(キャップ付き)などがある。返済方式の種類も多い。融資条件を細かく設定している公的融資に比べて、銀行ローンは個人の返済能力に応じて柔軟に融資している。
訪問販売による強引なセールスなどから消費者を保護するために設けられた制度で、一定の条件の下で売買契約を無条件に解除できるというもの。その条件は、売主が不動産会社などの宅建業者で、かつ契約が行われた場所が「宅建業者の事務所等」以外であること。また、契約解除をするには、売主からクーリングオフ制度について説明した書面をもらってから、8日以内に内容証明郵便などで契約を白紙撤回する旨の通知をする必要がある。
マンションの所有権には、いくつかの種類がある。購入者一人の自由にできるのが専有部分で、この部分の権利が区分所有権。店舗や事務所として1フロア全体を区分所有することもある。共用部分や敷地は、専有面積割合(建物全体の合計専有面積に対する区分所有している専有面積の割合)による持ち分の共有という形なので、購入者が自分で勝手に処分することはできない。区分所有権を売買すると、共有持ち分も自動的に付いてくる。
住宅ローンの毎月返済額やボーナス払いとは別に、まとまった資金をローン返済に充てること。一部繰り上げ返済と一括返済があり、ともにローンの元金分に充当されるので、その分の利息を支払わなくて済む。一部繰り上げ返済には、毎月の返済額を変えずに返済期間を短くする「期間短縮型」と、返済期間を変えずに毎月の返済額を減らす「返済額圧縮型」がある。繰り上げ返済の条件は金融機関によって異なり、手数料が別途必要な場合と不要な場合がある。
当初の賃貸借契約の期間が終わった後に、引き続き契約を更新する際に設定される賃料のこと。貸し手と借り手との当事者間だけで成立する賃料なので、あまり市場には出てこない。賃料相場が上昇基調にある時は、新規賃料に比べて継続賃料は上がりにくい傾向がある。そのギャップを埋めるために更新料を借り手から取るという面もある。新規賃料同様、賃貸経営オーナーにとって長期的な収支計画を検討する際には考慮すべきポイント。
ローン破たんなどで債務の履行ができずに差し押さえられた不動産を、地方裁判所が競売にかけて売却する物件のこと。一定の期間を決めて入札を受け付け、公示した最低入札価格以上で一番高く入札した人が購入できる「期間入札」と、期間中に入札が1件もなく売れ残った物件を先着順で任意に売る「特別売却」がある。一般市場価格より安く手に入れられるといわれるが、権利関係が複雑なケースが多く、綿密な事前調査が必要。
業務用の建物、機械、装置、備品などの資産は、使っているうちに少しずつ経済的な価値や物理的な寿命が減少していく。ただ、価値が減少する一方で毎年の収入に貢献しているため、その取得費は将来の収入を生み出すための費用の前払いということになる。このような資産は、取得費を有効に使える期間に振り分けて毎年の必要経費にすることになっている。この費用配分の方法を減価償却、その対象になるものを減価償却資産という。
不動産鑑定評価の手法のひとつ。たとえば中古住宅の建物を、その時点でもう一度建築した場合にいくらになるか(再調達原価)を割り出してから、建築後の経過年数によって価値が下がった分を割り引くこと(減価修正)で建物の現在の価値を出す方法。これに土地の取引事例価格を加えると中古住宅全体の価格=積算価格が出る(厳密には、土地についても、素材としての土地の取得原価に造成費などを加えた再調達原価を出す)。
現在あるがままの状態ということ。不動産分野では、中古住宅で設備の故障や劣化等があっても修繕やリフォームなどをせずに、そのままの状態で売買することを「現況有姿取引」、山林や原野などを造成工事をしないで販売することを「現況有姿分譲」という。後者は市街化調整区域の土地や別荘地分譲などでよくあるケース。通常、現況有姿分譲地には電気、ガス、水道などのインフラが整備されていないため、そのままでは生活できない。
賃貸物件の退去時に、借主が室内に設置した造作などを自ら取り除いて貸主へ返還すること。住んで古くなった部屋を、契約当時の状態に戻すことではない。国土交通省のガイドラインでは「賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義している。この考え方に従って、借主の不注意で壊したり汚した部分を修繕することも、原状回復に含むのが現在では一般的。
賃貸借契約の中に付帯的に盛り込まれることがある特約の一つ。退去する際に、どの程度まで借主の負担で汚れや損傷を修繕するかを定めたもの。通常の原状回復義務を超えて損害賠償義務を負うことを規定しているケースが多く、「損害賠償特約」ともいわれる。内容によって敷金返還トラブルの原因にもなりやすい。国土交通省のガイドラインでは、特約に「暴利的でない客観的・合理的な理由があること」などを留意点として掲げている。
建築物の分別解体と特定資材のリサイクル(困難な場合は縮減)を、一定規模以上の新築工事などの受注者に義務づける法律。2000年に制定、02年5月に完全施行。建設発生木材、コンクリート塊、アスファルトなどが対象で、2010年度のリサイクル率を95%にするのが目標。またこれまで無届けでも可能だった解体業者の都道府県知事への登録、技術監理者の選任を義務づけ、技術力のない者や不良業者の参入を防止する。
建物を建築するためには、工事にとりかかる前に、その計画の内容が建築基準法や関連法令に適合しているかどうか、都道府県または市区町村の建築主事に申請して、確認を受ける必要がある。これを「建築確認申請」と呼ぶ。本来は施主が行うものだが、建築士やハウスメーカーなどに代行してもらうのが一般的。そのための手数料が設計料などに含まれている場合もあるが、別途に請求されることもあるので事前に確認しておこう。
建物を建築するときに守らなければならない、もっとも基本になる法律。国民の生命・健康・財産を守ることを目的に、建築する敷地と道路との関係、用途地域ごとの建築物の種類や規模、建築物の構造や設備の強度・安全性などについて、最低限の基準を定めている。1950年制定。一定規模以上の建築物をたてる場合は事前に建築確認を受けることが必要になる。同法の技術的基準などの詳細を定めたものが「建築基準法施行令」。
住宅地としての良好な環境や商店街としての利便の維持増進を図るために、地域住民によって設けられた建築物に関する協定のこと。条例で建築協定について定められた区域内の土地所有者などが、全員の合意に基づいて協定書を作成し、公聴会に諮った後に、特定行政庁の認可・公告によって効力を発する。建築物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠、建築設備などについて定めることができる。通常は有効期間は10年程度。
土地を売るに当たって、一定期間内に特定の建設会社と建築請負契約を結ぶことを条件にしているもの。本来、土地の売買に建築条件を付けることは独禁法違反になるが、次の場合のみ許される。(1)土地売買契約後3か月以内に建築請負契約が成立することを停止条件とすること(2)請負会社は土地の売主、その子会社、代理人に限ること(3)建築条件が成立しない場合は預かり金などを返還し、契約を白紙撤回すること。
一戸建ての本体工事費を延床面積の坪数で割った数字で、ハウスメーカーの商品パンフレットの価格表示や、工務店との打ち合わせの際などに目安として用いられる。しかし、家の面積にかかわらず、一般にバス・キッチン・トイレなどの設備機器の数は同じなので、ここにかかる費用は変わらない。このため延床面積が大きい家ほど坪単価は小さくなる傾向がある。坪単価に坪数を掛けても全体の工事費が割り出せるわけではないので要注意。
建物の外壁や、柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積(建物の真上から光を当てた時に地盤面に影となって映る部分の面積)。ただし、外壁から1m以上突き出した軒や庇などは、その先端から1m外壁側に後退した部分までの面積を含む。1階部分の床面積のことを俗に「建坪」と呼び、建築面積と同じように使っているが、厳密には違う。1階の外壁より2階の外壁が突き出している場合は、建築面積は1階床面積よりも広くなる。
旧・住宅金融公庫の融資を受けるに当たって、工事の途中に行われる必要な手続きの一つ。公庫の建築基準に適合しているか、工事費は妥当か、中間金の交付を受ける場合の出来高の査定などを目的としていた。また性能保証機構が保険を付けるために建築中に行う調査も「現場審査」と呼ぶ。フラット35や住宅性能表示制度に伴うものは「現場検査」。施工の良否をチェックする工事監理や建築基準法による中間検査とは主旨が異なる。
住宅の規模(広さ)に対する規制を示す基準のひとつで、敷地面積に対する「建築面積」の割合のこと。用途地域と都市計画の指定によって上限が定められている。たとえば、建ぺい率60%地域の150平方メートルの敷地には[150平方メートル×60%=90平方メートル]となり、建築面積90平方メートルまでの建物が建てられる。なお、近隣商業地域と商業地域で防火地域内にある耐火建築物などについては、一定の割合で建ぺい率の割合が緩和される措置もある。
賃貸借契約をする場合に、地主や家主に対して支払うのが権利金。借地権を設定するための対価、または家賃や地代の前払いという性格を持つ。いずれの場合も、借り手が立ち退いた時に貸し手からの返還は不要。権利金が更地価格の1/2を超えると、貸し手側に所有権の売却益と同様の不動産譲渡税がかかる。借地権を売却するときは、権利金に相当する金額が借地権価格になる。借地権価格は更地価格の6~9割で大都市圏ほど高い。
所有権などの不動産に関する権利を登記したときに、登記名義人に交付される「登記済証」。登記申請書の副本や原因証書(売買契約書等)に法務局の登記済みの証明印を押して還付される。登記手続きの際に本人確認の手段の一つとして提出する。従来まで権利証を紛失した場合の代替手段として使われていた保証書制度は、05年3月7日の新不動産登記法施行で廃止され、事前通知制度に移行。
市街地再開発事業(第1種)の対象地域に関するいろいろな権利(土地・建物の所有権、借地権、借家権、抵当権など)を、新しく整備された建物や敷地に関する権利に置き換えること。建物の高度化・共同化と公共施設の整備をスムーズに行うための権利調整のシステムのひとつ。施行区域内の土地所有者や借地権者が共同で設立した市街地再開発組合や、都道府県知事の認可を受けた個人、地方公共団体などが事業を行う際に使われる。
建築基準法の総合設計制度に基づいて、開発プロジェクトの対象敷地内に設けられたオープンスペース(空地)のこと。公開空地の有効面積に応じて、容積率の割り増しや高さ制限の緩和が受けられる。公開空地の条件は、一般に開放され、歩行者が自由に通行したり利用したりできること。塀などで道路側から遮らず、周辺環境の向上に努めること。営利目的で長期間・常設的に占有できないこと(イベントなどの一時利用は可)など。
公的な機関が公的資金を使って建設、購入、または受託管理して運営している賃貸住宅のこと。低額所得者向けに安い家賃で賃貸する公営住宅、主に中堅所得層向けに独立行政法人都市再生機構や地方住宅供給公社が賃貸する賃貸住宅などがある。また、民間の土地所有者が公的資金の援助を受けて一定の条件に合った賃貸住宅を建て、入居者に家賃補助を行う特定優良賃貸住宅(特優賃)も公共賃貸住宅に含む。
あらかじめ旧・住宅金融公庫の融資がセットされていた分譲住宅。民間デベロッパーや住宅供給公社などが、計画段階から公庫の審査を受けて開発した新築マンションや建売住宅で、他の種類の公庫融資に比べて融資額などが優遇された。物件ごとに申し込み時期や融資額などの条件が設定されており、一般公開で募集して抽選で購入者を決める仕組み。2001年度中に事業承認を受けた物件を最後に、新規の分譲はなくなった。
施工業者に工事を請け負ってもらう契約。契約当事者双方の署名なつ印、工事名称・場所・工期・請負代金などを記した「工事請負契約書」のほか、トラブル時の処理方法などを取り決めた「契約約款」と、請け負う工事内容・費用の詳細を示す「設計図書」「工事費見積書」から成る。契約に際しては、すべての書類に目を通し、不明・不満点をクリアしてからなつ印すること。なお、契約時には工事費に応じた印紙税(収入印紙代)がかかる。
住宅建築にかかわる各種工事の費用の内訳を示す書類。内訳は何段階かに分かれていて、単に「工事費内訳書」と呼ぶ場合は、「木工事」「金属工事」「左官工事」など、工事種別ごとの合計と総合計をまとめた一覧表を指す。見積もりの初期段階ではこれだけで「見積書」と称することもある。実施設計ができあがった時には、さらに各工事の工賃、材料の数量・単価・合計額まで細かく示したものを「工事費内訳明細」として添付する。
賃貸借契約の更新をする際に支払う一時金の一種。借地借家法上に明確な規定があるわけではないので、仮に賃貸借契約書に更新料にかかわる条項がなければ、借り手は更新料を支払う義務はない。契約書に明記してあれば、支払わないと契約違反になる。貸家の場合は新規家賃の1~2か月分の更新料をあらかじめ契約書に盛り込んでいることが多い。借地契約では地代ではなく、更地価格(時価)の1割前後の更新料を請求するケースが多い。
当事者間で作成した書面が、特定の日付に確かに作成されたものであることを公務員の公証人が証明したもの。裁判所や法務局の近くにある公証人役場で作成され、公的な証拠能力が高い。ローン契約書・賃貸借契約書・遺言書などに使われる。金銭債権については強制執行認諾文言(強制執行を受けても異議がない旨の執行受諾約款)が入っている公正証書であれば、直ちに強制執行することも可能(土地・建物の差押えは除く)。
登記に記載の漏れや間違いがあった場合に、内容を訂正するために行う登記。たとえば、登記簿の土地面積と実際に測量した面積が異なっていた場合に行うのが「土地地積更正登記」。その場合は、土地家屋調査士に依頼して地積測量を行い、永続的な境界石などを設置することが前提になる。必要書類としては、地積測量図や境界確認書などがある。更正登記を行う場合、不動産1個につき1000円の登録免許税がかかる。
「高齢者であることを理由に入居を拒まない賃貸住宅」として、都道府県知事や各都道府県に一つずつ置かれた指定登録機関に登録したもの。高齢者居住支援センター(高齢者住宅財団内)のホームページで登録した賃貸住宅を閲覧することができる。住宅の規模や条件には特に規定はなく、バリアフリー化されていないケースも多いが、高優賃や終身建物賃貸借の認可された住宅も含まれている。高齢者居住法で創設された制度。
家主や地主が家賃・地代を受け取らない時に、法務局などの供託所に金銭を預けること。賃料の値上げ要求に反対して、従前の金額を支払おうとしても家主が受け取りを拒否する場合など、債務不履行で不利益を得ないための手段になる。厳密には、このタイプを「弁済供託」といい、他に民事執行手続きに伴う「執行供託」、損害を担保するための「保証供託」、公職選挙法による立候補や商号の仮登記のための「没収供託」がある。
高齢化社会を迎えて、歳をとって身体が弱くなっても自立した生活ができるように配慮した住宅のこと。加齢対応、長寿社会対応ともいう。バリアフリーと似たような意味だが、特に高齢者向けにスポットを当てた考え方。段差をなくすだけでなく、移動のしやすい間取り配置、安全に配慮した照明計画なども含まれる。なお、旧・建設省が「長寿社会対応住宅設計指針」を制定している。
一人暮らしや夫婦のみの高齢者でも、安心して賃貸住宅に住み続けられるような住宅の整備を促進する制度。バリアフリー仕様と緊急時対応サービスの提供などの条件を備えた優良な賃貸住宅を、民間の土地所有者や都市再生機構などが作る場合に、建設整備費の助成や税制優遇、家賃減額への補助が出る。旧建設省が1998年に制定。「高優賃(こうゆうちん)」と略す。07年度から地域優良賃貸住宅(高齢者型)として助成を行う。
財務省財務局が国有地の売り払い事業として放出している宅地のこと。売却方法は2つ。1つは一般競争入札で、一定の期間を決めて郵送で入札を受け付け、もっとも高い金額を出した人が落札するもの。価格は公示されない。もう1つは定価売払物件(価格公示売却)。国が価格を提示して購入希望者を募集。複数の応募があった場合は抽選になる。敷地面積300平方メートル以下の小規模物件が多い。中古住宅もあり、国が売主なので安心。
原義は「co(共同)・generation(発生)」で、単一のエネルギーから二つのエネルギーを発生させること。具体的には、石油や天然ガスなどを燃焼させて発生した蒸気で発電を行うと同時に、発生した排熱を回収して給湯や冷暖房の熱源として利用する熱電供給システム。熱効率は通常の火力発電が40%以下、コジェネレーションは70~80%。発電方式には、ディーゼルエンジン、ガスタービン、燃料電池などがある。
最初に借り入れたときの金利が、返済期間を通じてずっと固定されているもの。金利が変わらないので、最初から最後まで毎回の返済額も同じになる(元利均等返済の場合)。フラット35は固定金利が基本。都市銀行などでも20~35年の長期固定タイプを扱うが、長期になるほど金利が高くなるのが一般的。一定期間だけ金利を固定する固定金利期間選択型との違いに注意。一般に変動型より固定型のほうが金利は高い。
住宅ローンの金利タイプの1つ。基本は変動金利で、全返済期間のうち一定の期間だけ金利を固定できるタイプ。固定金利特約型ともいう。固定金利期間は、市場金利が変わっても借り入れ金利は変わらない。当初の固定金利期間が終わった段階で、自動的に変動金利に戻るタイプと、改めて固定金利期間を選択し直せるタイプがある。期間は銀行によって1年から20年までのバリエーションがあり、3年、5年、10年が多い。
毎年1月1日時点で土地・家屋の所有者として固定資産課税台帳に登録された人に課税される市町村税。保有税の1つ。新築家屋は取得した翌年から課税。中古住宅や土地を買った場合は前所有者(売主)に課税されるが、通常は購入した日を境に新所有者(購入者)按分して負担する。標準税率は1.4%で、市町村によって最高2.1%まで変更可能。また敷地面積200平米以下の土地は評価額が減額。居住用家屋の特例もある。
ローン金利の組み方の1つ。借り入れ金額を分割して、それぞれに固定金利(期間選択型)と変動金利を適用すること。固定金利は金利も返済額も変わらない代わりに、変動金利よりも金利水準は高いのが一般的。一方、変動金利は市場金利に連動して金利が変わるリスクがあるものの、当初の借り入れ金利は低い。固定金利、変動金利をミックスすることで、両者のメリットを半分ずつ採り入れながら、デメリットを軽減できる。
独立した専用住戸のほかに、共同の台所、食堂などの共用施設がついた生活協同型住居。個人のプライバシーを保ちながら、夕食をともにしたり共同作業をすることで良好なコミュニティを形成し、集まって暮らすことのメリットを享受する住まい方。北欧で生まれた発想。コ・ハウジングともいう。開発形態はコーポラティブや公営住宅形式が多い。日本では阪神・淡路大震災の災害復興住宅、高齢者の相互扶助的グループ住宅などの事例がある。
ホテル並みのフロントサービスがついた超高級賃貸マンション。主に外資系企業の中長期出張をターゲットに都心部で供給されており、家具・家電製品や什器類が付属しているのが一般的。通常は最低1か月単位の定期借家契約を結ぶ。敷金・礼金はなく、宿泊料はホテルより安い。サービス内容は、水道光熱費、リネン交換、クリーニング、ハウスキーピング、朝食サービスなど。フィットネスジム、スパ施設などの附帯施設も利用できる。
間取りの表し方に「2LDK+S」といった表現が使われていることがある。 この「S」がサービスルーム。 居室となる場合、建築基準法で有効採光率が決められており、 開口部(窓)の大きさに採光係数を掛けあわせたものが居室床面積の7分の1以上であることが必要となる。 この条件を満たさない場合は居室として認められないため、サービスルームとされる。 部屋の広さとは直接は関係ない。実際には独立した部屋として十分に使えても、 採光がとりにくい。「納戸」表記のこともある。
地方自治体が建築基準法(第39条)に基づいて、津波・高潮・洪水などの風水害を受けやすい地域として指定したもので、この区域内では建築の禁止など一定の建築制限を行なえる。急傾斜地崩壊危険区域などが対象になる。なお、「津波」は地震などによる海底の隆起・沈降が原因で発生するもの。「高潮」は台風などによる気圧の急変によって港湾の潮位が異常に高まること。自治体によって津波被害履歴図などを作成・公開している。
一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄のうち、いずれかの貯蓄を1年以上続け、貯蓄残高が50万円以上ある人が借りられる公的融資。融資の種類は3つある。事業主=勤務先を通して雇用・能力開発機構から借りる財形転貸融資。共済組合などから公務員が借りる融資。この2つの融資が受けられない民間勤労者や公務員は、住宅金融支援機構から直接借りられる(財形直接融資)。フラット35との併用も可能。
会社員が使える給料天引き式の貯蓄のこと。勤労者財産形成貯蓄の略称。勤務先の会社が金融機関と提携して、財形貯蓄の払い込みを代行する。一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の3種類がある。一定の条件を満たすと住宅資金(最高4000万円)、教育資金(最高450万円)の公的融資が受けられる。財形年金と財形住宅は、合計550万円までの元本に対する利子が非課税(郵便貯金や保険料などは385万円まで)。
中古住宅などの既存の建築物のうち、建て替えや増改築のできない不動産については「再建築不可」「建築不可」と表示することが不動産公取協の表示規約で義務づけられている。たとえば、市街化調整区域の土地、接道義務(敷地が、4m以上の道路に幅2m以上接していなければならない)に違反している土地建物、既存不適格建築物など。実際には再建築不可にもかかわらず、その旨を表示していない「おとり広告」を出す業者もいるので注意が必要。
複数の物件が同時に分譲されるケースで、販売価格を100万円きざみで数えたときに一番数の多い価格帯を最多価格帯という。宅地や建売住宅、新築マンションを分譲するときの広告に出す価格は、1区画または1戸当たりの販売価格を表示することになっている。ただ、物件数が10件以上ある場合で、すべての価格を示すことが難しい場合は、最低価格と最高価格、最多価格帯とその物件数を示すよう規定されている(表示規約)。
売買した不動産を、もう一度逆方向で売買する予約をすること。予約をした売主は、買主に対して再売買の意思表示をすれば買主の承諾の有無にかかわらず売買を成立させる予約完結権を持つ。買戻し特約と似ているが、再売買時の金額や期間などの規定はなく、当事者同士の話し合いで決められる。ただ、買戻し特約のように所有権移転の付記登記はできないため、将来の所有権移転請求権の保全を理由とした仮登記を行う必要がある。
過去に一度分譲されたものの、販売不振など何らかの営業政策上の理由から販売を停止。その後、価格や仕様の見直しをしたうえで再び販売をする物件のこと。当初の売主から、別の不動産会社などが買い取って再販するのが一般的。「クリアランス物件」「新古マンション」ともいう。新築後数年以上たっている場合もあるが、一度でも入居者がいた中古とは区別される。新築でも中古でもないため、物件によって融資が付きにくいことも。
ある債権者が、債務者の財産から、ほかの債権者に先だって優先的に弁済を受けられる権利。民法で定められた法定担保物権の1つ。たとえば、多数の債権者がいて、債務者のすべての財産を換金処分して債権額に応じて分配されるような場合に、先取特権を持っているものは一般債権者に分配される前に弁済を受けることが認められている。ただし、不動産の先取り特権は、登記しておかなければほかの債権者に対して優先権を主張できない。
国や自治体、裁判所などの公的機関によって、債務者が財産を処分することを禁止して、競売などによって換金できる状態にしておく手続き(将来の強制執行の保全)のこと。対象物が不動産の場合は登記簿に記載され、処分禁止の効力が発生する。裁判所の確定判決など、本差押えができる条件が満たされていない場合に、暫定的に押さえておくのが仮差押え。債権者の申し立てと一定の予納金を納めることで実行に移される。
仲介会社が、売却依頼を受けた不動産の価格を簡易評価することを査定といい、おおむね3か月以内に売れると想定した「査定価格」を割り出す。売主に価格をアドバイスするときには根拠を示すことが宅建業法で義務づけられており、その根拠として不動産流通近代化センターの「価格査定マニュアル」などが使われる。周辺の類似事例と該当物件を比較して、その時の相場を加味して決める。不動産鑑定士による正式な鑑定評価とは違う。
建物、構築物、工作物などが建っていない「まっさら」な状態の宅地のこと。また、借地権や地役権などの私法上の権利が付いておらず、購入後に自由に建築できる状態になっている(抵当権や建築基準法・都市計画法など公法上の制約があっても更地になる)。実際の不動産市場では、更地状態の売地は少ない。なお、私法上の権利が無くても、宅地の所有者が自己所有の建物を建てている場合は「建付地(たてつけち)」という。
「Century Housing System(センチュリー・ハウジング・システム)」の頭文字を取ったもので、100年長持ちする住宅を目指したシステム。旧建設省(現国土交通省)が「住機能高度化推進プロジェクト」の一環として開発したもので、物理的・機能的に耐久性の高い住宅を供給するための、設計・生産・維持管理にわたるトータルな考え方に基づいている。(財)ベターリビングが認定している。戸建てとマンションがあり、個別認定とシステム認定がある。
内装・外装の仕上げをそれぞれ表にまとめたもの。外壁・屋根などの外装(外部仕上げ)については立面図や矩計図などで代用されることもある。内装については、室名を縦軸に、床・壁・天井などの項目を横軸にした「内部仕上げ表」を作る。各部の下地、仕上げ材料、塗装などの仕上げ方法の指示を記入するほか、幅木、回り縁などの造作や付帯設備を書き入れることもある。フラット35の設計検査に必要な書類のひとつ。
文字どおりの意味は、その時々の旬の市場価格を表す。不動産の世界でも、明らかな定義はない。ただ、税務上は「時価」を基に課税するのが原則になっている。この場合の時価は、不動産取得税や登録免許税、相続税などの場合は固定資産税評価額。譲渡所得税の場合には実際の市場における「正常価格」と解釈されている。正常価格は必ずしも実勢相場とは一致せず、不動産鑑定士などが公示地価を参考に適正と判断した価格。
賃貸借契約で、借り手が家賃を滞納したり、部屋の造作を壊すなどした場合の損害賠償の支払いを担保するために、家主に対して預けるお金のこと。保証金と同じ性格だが、敷金としての相場は家賃の1~3か月分。契約が終了した時、滞納や修理が必要な損害を与えないかぎり無利息で全額返還されるのが原則。部屋の改装費用を差し引いて返還する家主もいるが、常識的な使い方で経年変化した分の改装費まで借り手が負担する義務はない。
不動産の取得にかかわる資金の調達手段のひとつで、自分で用意することを自己資金という。そのほかの資金調達の手段は、金融機関からの借入金や不動産証券化などの場合の出資金がある。自己資金には、購入代金として使う頭金の他に、税金やローンにかかわる事務手数料、仲介手数料、保険料などの諸費用が含まれる。自己資金が多いほど借金の返済リスクも減るので、自己資金の割合をどうするかが資金計画を立てる時のポイントになる。
軟弱地盤の支持力を増したり、沈下を抑えるために、セメント系の固化剤と土を混合・かくはんして固めることによって地盤自体の強度を高めること。代表的な手法には、建物の下部全面にわたって深さ1~2mまでの土を固める「表層改良工法」と、2~8m程度の深さまで円筒型に固めたものを数カ所入れる「柱状改良工法(深層かくはん混合工法・ソイルセメントコラム工法)」の2つがある。後者は超軟弱地盤のケースに採用される。
建物の所有を目的に、地主から土地を借りて使用する権利のこと。借地権の契約期間は最低30年以上。借地人が更新を求めた場合、同一の条件で契約を更新しなければならず、更新後の契約期間は1度目が20年以上、2度目の更新以降は10年以上。地主が契約更新を拒絶できるのは正当事由がある場合のみ。定期借地権と区別するために普通借地権ということもある。また、借地権には、地上権と土地賃借権の2つの種類がある。
借地や借家の権利関係、契約に関して定めた法律のこと。もともとは大正10(1921)年に借地法、借家法が独立した形で制定された。いずれも借り手側の保護に重点が置かれていた。特に正当事由制度によって過度に借り手が守られ、一度貸したら二度と戻らないという意識が生まれ、土地活用が進まないという議論が活発化。平成3(1991)年に借地法・借家法が廃止、定期借地権制度が盛り込まれた新借地借家法が誕生した。
欧米で主流になっている不動産鑑定評価の手法のひとつ。不動産の運用によって得られると期待される収益=賃料を基に価格を評価する方法。日本でも1991年と2002年に不動産鑑定評価基準が改正され積極的活用が明示された。年間の賃料(厳密には賃料から諸経費を控除した純収益)を還元利回りで割ることで収益価格を出す。還元利回りは、物件の種類や条件によって変わる。一般的住宅では5~7%、事業用は8~10%が目安。
建物の賃貸借をするときに「借り主の死亡のときまで存続し、かつ、借り主が死亡したときに終了する」旨の特約をつける契約のこと。または、この契約を結ぶことができる事業のこと。住宅のバリアフリー化や前払い家賃の保全措置を講じるなど、一定の条件をクリアして都道府県知事の認可を得る必要がある。高齢者居住法で設けられた制度。賃料の支払い方は、毎月払い、月払いと一部前払い併用、全額一括前払いの3パターン。
日本の住宅政策の骨格を定めた法律。2006年6月8日に施行された。政府の住宅建設計画に基づいて、公的機関が主導する新築住宅の量的な供給を中心とした従来の枠組みを大きく転換し、市場メカニズムを活用しながら、ストック重視と住環境の向上など住生活全般の安定を図ることが基本的な理念。法律の規定に基づいて国や地方公共団体が具体的な目標や施策を掲げた住生活基本計画を作成し、実行することを定めている。
長期修繕計画に応じた適切な修繕積立金を割り出すと、標準的な70平方メートル程度のマンションで1戸当たり5000円~6000円以上になる。毎月定期的に支払う費用を抑えるために、修繕積立金を管理費の1~2割程度に設定しているケースも多いが、積立金額が少ないと計画修繕が上手く行かない。そこで積立金額を補うために、マンションを購入する時に一括で支払うのが「修繕積立基金」。20~30万円程度のまとまった金額になるのが一般的。
賃貸借契約の中に付帯的に盛り込まれることがある特約の一つ。入居中に生じた損耗や故障などについて、一定の範囲内の修繕を借主の負担にすることを定めたもの。本来、貸主の負担で修繕するべき経年変化や自然損耗についても特約に盛り込んでいる場合があるので注意が必要。一般に、畳表や襖の張り替えなどの小修繕までが借主の負担、壁紙やカーペットの張り替え・設備機器の交換などの借主に過失のない場合の大修繕は貸主の負担。
住宅瑕疵担保履行法に基づいて義務づけられた資力確保措置のひとつで、国土交通大臣の指定する保険法人と新築住宅の施行者や売主との間で締結される住宅専門の保険。住宅の瑕疵が判明して補修等を行ったときに保険金が支払われる。保険料は事業者負担。戸建て住宅で1件6~9万円。工事中に検査があるため、着工前に申し込む必要がある。事業者が倒産して補修できない場合は、発注者や買主が保険法人に費用を直接請求できる。
品確法で定めた住宅の基本構造部に関する10年間の瑕疵担保責任(10年保証制度)を確実に履行させるために、新築住宅の請負人や売主(事業者)に、保険への加入や保証金の供託などの資力確保措置を取ることを義務づけた法律。2009年10月1日以降に引き渡される新築住宅から適用。事業者が倒産して資力がない場合でも、保険金や保証金によって補修や賠償を行うことで、発注者や買主(宅建業者を除く)は保護される。
特殊法人改革に伴い、旧・住宅金融公庫が廃止され、その業務を引き継ぐ形で2007年4月に誕生した独立行政法人。公庫のような一般消費者向けの直接融資を行わず、民間金融機関と提携して住宅ローン債権の証券化をサポートすることで、長期固定金利の住宅ローン「フラット35」などを提供する「証券化支援業務」を中核事業とする。他に、審査・管理回収業務、住宅融資保険業務、住宅に関わる情報提供業務などを行う。
65歳以上の親から20歳以上の子への贈与について、2500万円までは贈与税をかけずに相続時に一括精算する「相続時精算課税制度」に適用される特例措置のひとつ。2009年12月末までに、住宅取得やリフォームに充てる資金を贈与する場合に、非課税枠が通常より1000万円増えて、3500万円まで拡大するという特例。また、親の年齢制限はないため、65歳未満の親からの贈与にも適用される。
住宅を購入するための資金として実の父母や祖父母から援助を受けた場合に、贈与税を軽減する制度のこと。住宅取得資金のうち1500万円までの部分について「5分5乗方式」という方法で税額を計算することで、通常の贈与税より安くなる。この特例を受けた翌年から4年間に贈与を受けた分については、通常の贈与税よりも高い税額になることに注意。2005年末で特例の適用期限が過ぎたため、廃止された。
住宅の基本性能を長期間保証する制度。施工会社や売主の不動産会社などが倒産した場合でも、保険金で修繕費用が賄われる。新築住宅の基本構造部の10年保証として、(財)住宅保証機構や民間の指定住宅性能評価機関などが採用。各機関の施工基準にしたがって性能評価と現場検査を受けた住宅に保証書が発行される。施工業者は各機関への事前登録が必要。住宅性能保証制度が適用されると、ローンの金利優遇が受けられることも。
デベロッパーなどの売主から新築住宅の販売業務を受託し、販売代理としてユーザーに営業活動をする会社のこと。「○○住宅販売」「○○不動産販売」といった社名が多い。会社としては販売代理だけでなく仲介業務も兼ねており、取引を媒介する場合には仲介会社としての顔になる。また、住販会社が自ら中古住宅を購入して、リフォーム後に転売する業務を行っているケースもある。不動産の売買一般にかかわる業者ともいえる。
住宅を購入・建設する資金として利用できるローン。別荘やセカンドハウス向けは別の種類になる。大別すると、民間融資と公的融資の2種類。民間融資を扱う金融機関は、銀行、信用金庫、労働金庫、信用組合、ノンバンク、モーゲージバンクなどで、フラット35と各機関独自の融資がある。公的融資は、財形住宅融資と自治体融資のみ。その他に、民間企業の従業員向けの社内融資制度、公務員の共済組合による融資もある。
マイホームの取得や改修で住宅ローンを利用した場合に、ローン残高に応じて一定の所得税・住民税を控除する制度(別表参照)。控除可能額は居住した年によって変わる。2009~10年に居住した場合が最大500万円(長期優良住宅は09~11年居住で600万円)。実際に控除される金額は支払っている所得税額が上限。控除期間は10年間。正式名称は「住宅借入金等特別控除」。「住宅ローン減税」ともいわれる。
住宅ローンを申し込む際、所定の収入基準をクリアできない場合に同居予定者の収入を合計して計算できるしくみのこと。金融機関によって収入合算できる人の条件は異なる。たとえばフラット35では、次の要件を満たす同居予定者なら年収の全額まで合算することができる。a)申込本人の配偶者や父母・子供などの直径親族、婚約者、内縁関係の人、いずれか1名。b)連帯債務者になること。c)借入申込時の年齢が70歳未満。
品確法に基づいて導入された制度で、基礎や柱・梁、壁、屋根などの住宅の骨組にかかわる基本構造部分と、雨漏りを防止する部分に不具合が生じた場合に、売主や施工会社が引き渡してから最低10年間は無償で修理することを義務づけたもの。この期間を特約で20年間に延長することもできる。正式には「新築住宅の瑕疵担保責任の特例」という。ハウスメーカーや不動産会社等が行うアフターサービスとしての長期保証との違いに注意。
住宅の総床面積に対する収納部分の面積の比率。収納率の計算対象に入れるのは、押入やクロゼットのように高さが180cm程度以上あるスペースで、つり戸棚・下足入れ・キッチンキャビネットなど高さの限られた部分的なスペースは含めないのが一般的。数値を比較する際は、計算の基準を統一する必要がある。収納率の目安は、一戸建ての場合で15%程度、面積の限られるマンションでも最低8%以上が望ましいといわれる。
不動産の売買契約や賃貸借契約に先だって、不動産会社が取引相手や当事者に対して契約に関する重要な事柄を説明すること。省略して「重説」。不動産の取引についての専門知識がない一般消費者でも内容を十分に理解したうえで契約できるようにして、のちのちのトラブルを未然に防ぐために宅建業法で設けられた制度。宅建主任者が主任者証を提示したうえで、「重要事項説明書」を交付して説明することが法律で義務付けられている。
工事費の明細に時として使われる項目。普通、工事費を決めるには施主の希望や予算を聞き、工事や仕様に関する話し合いを行う。費目ごとの値引きなども検討し、最終的に双方納得した金額になる。ところが工事の段階で100万円で請けたのに115万円かかったときなどに「出精値引き15万円」という言い方をする。一般的には「頑張って値引きしました」といったニュアンス。これ以上値引きできないなど「抑え」の意味もある。
他人の所有しているものを自ら所有者のように占有して一定期間たった場合に、所有権の取得を認める制度。何の争いもなく公然と所有する意思を持って支配していれば、最初から自分のものだと信じている「善意無過失」の場合は10年、他人のものだと知っている場合でも20年で取得時効が完成する。占有開始後に第三者に賃貸しても占有は継続する。裁判上の明け渡し請求や、差押えなどの時効の中断事由がない限り、時効は成立する。
工事がほぼ終了したとき、その施工状態をチェックするために行われる検査。まず施工会社や設計者・監理者などの工事責任者が行い、その後に施主が立ち会って検査を行うのが一般的。後者を「施主検査」と呼ぶことも。この時点で不具合が発見された場合は手直しを行い、その仕上がりを確認、清掃などが完了してから建物を施工者から施主に引き渡す。これとは別に、自治体の建築主事などが建築基準法に基づいて行うのが「完了検査」。
賃料を支払わずに無償で借りて使用すること、またはその契約のこと。使用貸借の権利関係から生じる利用権を「使用借権」または「使用権」という。通常は、親兄弟間などで貸し借りしている特別な関係を前提にしている場合が多く、借り主を保護する借地借家法は適用されない。契約期間が終了したら貸主に正当事由があるなしにかかわらず明け渡さなければならない。契約の定めがない場合は、いつでも貸主は返還を請求できる。
資産を譲渡した時に得られた利益のこと。不動産などの売却(譲渡)価格そのものではなく、そこから一定の経費を差し引いた後に利益が残った場合に「譲渡所得」という。もし経費を引くとマイナスになる時は「譲渡損失」。譲渡所得には取得後の期間による長短の区分があり、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていると長期譲渡所得、5年以内なら短期譲渡所得になる。譲渡所得から特別控除を除いた部分に課税される。
債権の担保のために、債務者が持っている財産の所有権をひとまず債権者に移転しておくこと。定められた時期までに債務を完済すれば、元の所有者である債務者に再び所有権が戻る。機械や設備などの動産についてよく利用されてきた。不動産も対象になる。債権者にとっては、抵当権の実行のような複雑な手続きがいらず、確実な担保となる。業者が売主の割賦販売や提携ローン付き販売では、対象物件を譲渡担保にすることは禁止。
土地や中古住宅の売買、贈与・相続などによって所有権が移った時に行う登記。所有権移転登記をするには、売主と買主連名の登記申請書を提出する。添付書類は、売買契約書の写し、売主の権利証、印鑑証明書、買主の住所証明書など。相続の場合は戸籍謄本や遺産分割協議書が必要。土地売買による所有権移転登記の登録免許税は「固定資産税評価額×1%」(07年度まで)。特定のマイホームの場合は税率が0.3%に軽減される(08年度まで)。
住宅を新築した場合などに、登記簿に建物の所有権を初めて登記すること。所有権保存登記の前提として、建物の位置・形状・構造などを表示する登記をして登記簿の表題部を作る。次いで所有権保存登記の申請をすると、登記簿の甲区に所有者として登記される。所有権保存登記をすると登録免許税がかかる。税額は「固定資産税評価額×0.4%」。特定のマイホームを取得した場合は税率が0.15%に軽減される(2008年度まで)。
不動産の割賦販売で、物件を引き渡した後も未払い分の債権を担保するために、購入者に所有権を移転(登記)せずに売主の手元にとどめておくこと。業者が債務保証をして提携ローン方式で販売するケースでも行われることがある。宅建業法では、業者が売主の場合に、所有権留保をすることを禁止している。ただし、引き渡し後に業者が受け取った金額が代金の3分の1以内の場合や、買主が保証人を立てる見込みがない場合は例外。
借り手を新しく募集する際に設定する賃料のこと。新築の賃貸住宅をオープンした場合の契約賃料だけでなく、すでに賃貸経営を始めている場合で入居者が退去した時に再募集をかけるケースも新規賃料になる。不動産鑑定理論では、いわゆる礼金や権利金、保証金の運用益なども含まれる。賃料相場などの統計データは、新規賃料を集計したものが使われる。賃貸経営オーナーにとって、初期設定賃料と収支計画を検討するための重要な指標になる。
(1)半階ずつずらして配置されたフロアのこと。(2)マンションの場合、共用廊下の形式の一つ。エレベーター(EV)の停止階と通過する階(スキップ階)があり、停止しない階の住戸に行くには一旦上下の階でEVを降りて、階段で自分の階に上がり下がりする。スキップ階の住戸は階段を上下する手間はあるが、開放廊下がなく、両面バルコニーが可能になるので通風・採光、プライバシーの面で利点がある。EVの効率も良い。
マンションのような集合住宅の建物を、スケルトン(骨組)とインフィル(内装等)に分けて、スケルトン部分だけを賃貸する方式のこと。インフィルは、スケルトンの賃借人が自らの負担で造って所有する。転貸も可能。事業者が入居者に対して直接スケルトンを賃貸するケースと、公団・公社などの公的主体が民間事業者にスケルトン賃貸をして、民間事業者がインフィルを造って転貸するケース(スケルトン賃貸住宅制度)がある。
マンションなどを、骨組みのコンクリートが露出したスケルトンの状態で分譲すること。購入者がインフィル(内装仕様)を造って住むか、または第三者に転貸することもできる。現状では、建築基準法などの規制や登記・融資の問題があるために、完全にスケルトンとインフィルの建設を区分して分譲することはむずかしい。購入予定者がインフィルの設計段階から参加する「オーダーメイド方式」の分譲マンションが、これに近い。
初めの返済額を抑えて、段階的に返済額を上げていく返済方式。元もとは、当初5年間の返済額を軽くして6年目以降にアップする形で住宅金融公庫が導入。一時期「ゆとり返済」という名前で6年目に急激に返済額が上がるしくみに替えたが、時流に合わず廃止された。現在は、返済額の上がるステップ数、金額などを選べる新しい形のステップ返済を扱っている民間金融機関がある。確実に収入アップが見込める人向き。
旧・住宅金融公庫の融資額割増制度の1つ。床面積や地域によって異なり、最大1000万円まで増額された。適用金利は基本融資額と同じ。1998年10月の「住宅金融公庫の融資に関し緊急に講ずべき対策について」と、同11月に閣議決定された「緊急経済対策」などに基づいて99年から導入された。当初、1年間の時限措置だったが、99年11月の経済新生対策などにより2000年末まで延長。
普通借地権契約や従来型の借家契約で、借り手が契約更新を求めた場合に、貸主側に正当事由がなければ更新を拒否できず、明け渡しを求められない。この正当事由とは、貸主側が自分で使用する必要性があり、なおかつ借り手・貸主双方の利害得失を比較考慮して、貸主に相当の事情があると認められる場合のこと。立退料の支払いも正当事由を補完する。定期借地権、定期借家契約には正当事由制度は適用されない。
新築と中古を問わず、取引が成立して売買契約書に記載される金額のこと。新築の販売価格や中古の売出価格とは必ずしも一致しないことが多い。不動産の相場を調べるときには、実際にいくらで取引されているかを示した成約価格が重要。これが取引事例になる。現在の日本では、プライバシーの問題等を理由に成約価格の情報があまりオープンになっていないため、適正な価格相場がどの水準にあるのか判断しにくい。
建物の設計を建築士に依頼するために結ぶ契約。委託する仕事の中に設計と施工監理を含む場合と、設計契約、監理契約を別々に結ぶ場合とがある。設計料は契約時、設計完了時、竣工時など、数回に分けて支払う。金額は施工監理を含めて工事費の10~20%が一般的。施工監理を別の相手に依頼する場合は、設計料の30%程度が目安となる。ハウスメーカーなどに施工と併せて依頼する場合は、設計の契約は省略されることが多い。
第1種および第2種低層住居専用地域には、隣地斜線制限がない代わりに建築物の絶対的な高さの制限がある。数値は10mまたは12mで、各地域の都市計画によって決められる。高さの限度が10mの地域では、一定以上の敷地面積があり、かつその敷地内に空地を有するなど、低層住宅地の環境を害する恐れがないと認められれば12mまでの緩和もある。一方、限度12mの地域では日影規制が強化されるなど総合的に運用される。
総合工事業者、または総合建設請負業者を意味するゼネラル・コントラクター(general contractor)の略。建築一式を請け負う業者のことで、特定分野の専門工事をする建築業者=コンストラクター(constructor)とは違う。土木、道路舗装、建築など、あらゆる建設工事をカバーする売上高上位数社がスーパーゼネコン。住宅関連では、大小のマンションや大規模開発を手がけ、売主を兼ねることもある。
広義には、太陽熱や太陽光を活用したエネルギーを使う電気設備や冷暖房機器、給湯器などを組み込んだ住宅のこと。狭義には、財団法人建築環境・省エネルギー機構(IBEC)が認定した住宅を指す。大きく分けると、太陽熱給湯器や太陽光発電システムなどの機器を用いたアクティブソーラーと、特別な機器を使わずに建築設計上の工夫で太陽熱を蓄熱材などにためて、その輻射熱を暖房等に生かすパッシブソーラーがある。
賃貸借契約が終わった時に、借家人が家主に対して、建具、畳などの造作を時価で買い取らせることができる権利のこと。借家人が家主の合意を得て建物に対して付加した造作か、入居した時に家主から買い受けた造作が対象。商業ビルのテナントで内部を改装したものは、造作買取請求の対象になるかどうか議論が分かれる。契約時にその扱いを十分確認することが重要。なお、新借地借家法では当事者の特約で造作買取請求権を排除できる。
相続が発生して、亡くなった人(被相続人)が所有している不動産を相続した場合に所有権移転登記をすること。手続きには、被相続人の戸籍謄本や遺言書など相続人を特定するための書類、遺産分割協議書など遺産の分配を証明するものが必要。相続登記には期限がなく、申請する義務もないが、速やかに登記を実行しておいたほうが賢明。登録免許税は相続税評価額の0.2%(2006年度末まで。本則の税率は0.4%)。
年間110万円を超える現金や不動産などの財産を、個人から無償でもらった時に課税される国税。この個人の中には、他人に限らず親子や夫婦間の贈与も含む。税額は、1年間にもらった財産を合計した価額から110万円の基礎控除を差し引いた課税価格に対して、超過累進税率(別表)を掛けて計算する。不動産の価格は相続税評価額。マイホームにかかわる贈与については「相続時精算課税制度」や「配偶者控除の特例」がある。
借地権がついた宅地の所有権のこと。更地のように土地所有者が自由に利用したり転売したりできる完全所有権とは違い、借地権者との関係で利用上の制約を受けること、借地権者以外の第三者に底地だけを売却することが難しいことから不完全所有権といわれる。底地の価格は、更地の時価から借地権価格を差し引いた金額に相当する。また、相続税評価額も借地権割合を控除した価額になる。大都市圏の都心に近いほど評価は低い。
都市計画法で決められた用途地域のひとつ。大規模な店舗やオフィスビルなどの建築を制限する住居系の地域。床面積が3000平方メートル以下なら、階数にかかわらず飲食店や店舗、事務所などが建築できる。ボーリング場やゴルフ練習場、ホテル、旅館なども可。税務署、郵便局、警察署、消防署などは建物の規模に関係なく建築可能。また、マージャン店、パチンコ店、カラオケボックスなどの遊戯施設は規模にかかわらず建築できない。
都市計画法で決められた用途地域のひとつ。中高層住宅のための良好な住環境を保護するための住居系の地域。低層住居専用地域のような絶対高さ制限がないので、容積率に応じて4階建て以上の中高層マンションなどが建築できる。飲食店や店舗は2階建て以下で床面積500平方メートル以内ならOK。大学や病院、2階以下で床面積300平方メートル以内の独立車庫も建築可能。ゴルフ練習場・パチンコ店などの遊戯施設、ホテルなどの宿泊施設は不可。
都市計画法で決められた用途地域のひとつで、2~3階建て以下の低層住宅のための良好な住環境を保護するための住居系の地域。一戸建ての住環境としてはもっとも優れている。住宅以外に建てられるのは、高校以下の学校、図書館、銭湯、診療所、老人ホーム、保育所など。併用住宅の場合は、住居部分が全体の2分の1以上で、店舗等の広さが50平方メートル以内に限られる。建物の高さを10mまたは12m以下に抑える絶対高さ制限がある。
ある材料が外部からの物理的・化学的な影響に対して、どれだけ長く抵抗できるかを示す性能のこと。「durability」、長持ちする力。建築物では柱や梁、壁などの基本構造部分の耐久性と、設備配管などの耐久性が異なる。材料の選定や設計のしかた、維持管理の善し悪しなどでも耐久性が変わってくる。品確法の住宅性能表示制度では、耐久性に相当する項目として「劣化の軽減に関すること」で「劣化対策等級」を定めている。
1981年5月31日以前に着工された住宅を、現在の新耐震基準に適合するようにリフォームした場合に、かかった費用の10%(上限20万円)を所得税から税額控除するという制度。06年度税制改正で創設された。自治体の住宅耐震改修促進計画など、一定の対象区域内にある住宅で、2013年末までに工事する場合に適用される。また、固定資産税についても工事時期に応じて1~3年間、税額が半分になる。
1981年の新耐震設計法の導入以前に作られた建築物のうち、不特定多数が利用する特定建築物(3階建て以上、床面積1000平方メートル以上の特定の用途の建物)などの所有者に対して、耐震診断をしたうえで必要な耐震補強をする努力義務を課した法律。95年12月25日施行。そのほかの建築物は、耐震改修計画が同法に適合しているかどうかの認定を受けると、耐震改修に関する一定の規制緩和や公的融資の優遇などを受けられる。
地震や強風などの力で建物が揺れても耐えられるように設計された構造。1981年以降の建築基準法では、新耐震設計として、大地震でも建物が倒壊することなく人命を守れることを最低限のレベルにしている。壁にヒビが入ったり、建物内の設備や備品などの損傷を防ぐレベルまではカバーされていない。高層ビルでは上の階にいくほど揺れが大きくなる。地震力に耐える「耐震」に対して、地震力を低減させるのが「免震」や「制震」。
都市計画法で決められた用途地域のひとつ。住居系の地域だが、大規模な飲食店、店舗、事務所などの建築も可能。階数や床面積の制限はない。カラオケボックス、パチンコ店などの遊戯施設、畜舎、自動車教習所も建てられる。作業場が50平方メートル以下なら、小規模な食品製造業に加えて、危険性や環境悪化のおそれが少ない工場も建築可能。ただし、劇場や映画館、キャバレー、ダンスホール、営業用倉庫など建築できないものもある。
都市計画法で決められた用途地域のひとつ。主に中高層住宅のための良好な住環境を保護するための住居系の地域。建築できる建物の種類は第1種中高層住居専用地域と同様。ただ、飲食店や店舗の床面積が第1種中高層住居専用地域の500平方メートル以内から1500平方メートル以内に拡大している。また、2階建て以内なら専用の事務所ビルも建築可能。パン、米、豆腐、菓子などの食品製造業で、作業場の床面積が50平方メートル以内の工場も建てられる。
都市計画法で決められた用途地域のひとつ。主に低層住宅のための良好な住環境を保護するための住居系の地域。建築できる建物の種類や高さ制限は第1種低層住居専用地域とほぼ同じ。唯一の違いは小規模な飲食店や店舗などの建築が可能なこと。具体的には2階以下で床面積が150平方メートル以内で、日用品の販売店、食堂、学習塾そのほかの各種サービス業を営む店舗。パン・豆腐など自家製造販売の場合は、作業場の面積が50平方メートル以内。
不動産会社と取引するときの取引態様の1つ。売主や貸主に代わって取引の交渉を行う会社(エージェント)。買主や借主との契約も行う。新規分譲の営業活動を含めて行う場合は販売代理という。販売代理の不動産会社を通して購入する場合、買主は売買代金以外の手数料を支払わないで済むのが普通。ただ、宅建業法上は販売代理の会社が買主から手数料を取ることを禁止してはいないため、まれに手数料を請求されるケースもある。
農地・山林・原野・沼沢地などを宅地にするために、土地の形や性質を変えること。傾斜地の宅地造成にともなう崖崩れや土砂の流出によって災害が発生することを防ぐために宅地造成等規制法(1961年11月制定)が設けられ、地盤の安全性確保、擁壁や排水施設の設置などの技術基準がある。規制区域内の一定の宅地造成工事(別表)は都道府県知事の許可が必要。自治体によっては地域の実状に合った開発指導要綱を定めている。
いわゆる宅地や建物などの不動産の取引に関する法律。1952年制定。「宅建業法」と略す。宅建業者=不動産会社の免許、宅地建物取引主任者の資格、営業保証金、業務などについて定め、宅建業者に誇大広告の禁止、広告開始時期の規制、取引態様(売主・媒介・代理)の明示、重要事項説明の義務などを課している。88年に専属専任媒介契約とレインズの創設、95年に免許の有効期限延長などの改正(97年施行)があった。
不動産会社は、事務所の見やすい場所に免許事項を記載した標識を掲示することが法律義務。この標識の最初に「国土交通大臣免許(1)○○号」「東京都知事免許(9)××号」と出ているのが免許番号。複数の都道府県にまたがって事務所がある場合が国土交通大臣免許、1つの都道府県内にある場合が都道府県知事免許。カッコ内の数字は免許の更新回数を示す。更新は1996年以降は5年に1度、それ以前は3年に1度の間隔。
新規分譲の一戸建てのこと。住宅を建ててから売る、または建物付きで売ることから「建売」という。建売住宅といっても、実際に建物が完成してから売るケースよりも、青田売りのケースのほうが多い。販売時点ではまだ基礎もできていないことも珍しくなく、「建て売り」というより「売り建て」といったほうが現実に近い。ただ「売建住宅」というのは、一般に「建築条件付き土地分譲」をさしており、建売住宅とは法律上もまったくの別物。
借地に建物を建てて住んでいる借地人が、借地契約の期限が来て土地を明け渡さなければならなくなった時に、地主に対して建物を時価で買い取るように請求できる権利のこと。建物買取請求権があるのは、双方の合意解除の場合、借地人に更新の意思がない場合、地主に正当事由があって更新拒絶や解約申し入れをした場合など。借地人の地代不払いや重要な契約違反などによって解除される場合は、地主は買取に応じなくても構わない。
入居している賃貸住宅が競売にかけられて、落札した新しい所有者から立ち退きを迫られた場合、3年以内(土地は5年)の短期賃貸借契約なら、前の所有者との契約が保護され、契約期間中は居住できる権利。2004年4月に民法の一部改正により廃止された。もともとは、善意の賃借人を保護するのが目的だったが、競売にかかった賃貸物件に居座って法外な立ち退き料を請求する「占有屋」を排除するために保護制度がなくなった。
金融機関などが担保物件として抵当権を設定した不動産を借りるときに行う3年以内(家屋の場合。土地は5年以内)の賃貸借契約。その不動産が競売で落札され明け渡しを求められると、通常は落札者に所有権が移転してから6か月の猶予期間中に立ち退かなければならないが、短期賃貸借の場合は契約期間内は住み続けられる。これを「短期賃貸借の保護制度」(民法)というが、2004年4月に廃止された。
借地権の種類のひとつ。地代を支払う義務はあるが、地主に断ることなく自由に売買したり、また貸しや建て替えが可能。地上権を設定すると地主に登記を請求することができるので、抵当権を設定して地上権を担保に融資を受けることもできる。借地人の力が強く、所有権に近い。民法では地上権を「他人の土地に於て工作物または竹木を所有するためその土地を使用する権利」と規定しており、所有権と同じ「物権」に分類している。
地盤がどの程度の荷重に耐えられるか、また、地盤の沈下に対して抵抗力がどのくらいあるかを示す指標。前者の荷重を支える力だけを示すのが「支持力」。専門的には「長期許容応力度」という。沈下抑制を含む場合には、地盤の上にたつ建物の種類や形状、地下水位、地中の土質などによって変わってくるため、総合的な判断が必要。建物を建築する場合は、地耐力に応じた基礎構造を採用することが建築基準法で義務づけられている。
登記簿に載っている土地の種類のこと。主な用途ごとに、宅地、田、畑、山林、原野、雑種地など21種類に区分されている。住宅を建てる場合、宅地であれば問題ないが、田や畑などの農地の場合、そのままでは住宅は建てられない。農業委員会から農地転用の許可を受ける必要がある。市街化調整区域農地の転用は極めて困難。登記簿と実際の利用状況が異なることもある。その場合は「地目/山林(現況宅地)」という表示になる。
不動産取引の当事者、つまり売主と買主、貸主と借主の間に立って、取引を仲立ちすること。取引態様の1つで、媒介ともいう。いわゆるブローカーと同じ。仲介をする不動産会社を仲介会社という。売主と買主の間に立つ仲介会社は、必ずしも1社とは限らず、複数の会社が介在することも珍しくない。取引が成立した場合は、仲介会社に仲介手数料を支払う。売買の場合は、最大で価格の3%プラス6万円。賃貸借の場合は賃料の1か月分。
不動産の取引を仲介(または媒介)する会社のこと。売買仲介と賃貸仲介がある。明確に分けられないが、どちらかを営業の中心を置いているのが普通。売買仲介会社は、中古マンション、一戸建て、土地の売買に当たって、売主と買主の間で取引の仲立ちをする。賃貸仲介会社は、アパートや賃貸住宅の家主と賃貸入居者の仲介をする。取引が成立した時に、成功報酬として取引の当事者双方から仲介手数料を得る。
仲介会社の媒介などによって不動産の取引をしたときに、業者に支払う報酬のこと。媒介報酬ともいう。宅建業法では成功報酬主義が取られているので、売却や物件探しの依頼をしても取引が成立しなければ支払う必要はない。仲介手数料の金額の上限は宅建業法で決められている。売買(取引金額が400万円超)の場合は「取引金額×3%+6万円」以内。課税業者の場合、これに消費税がかかる。そのほかの取引の報酬額は別表の通り。
建築物の工事途中に、その構造や施工の状況が建築基準法とその関連規定に適合しているかどうかをチェックする検査。1999年5月の建築基準法改正によって導入された。どの建築物のどの工程で行うかは、各特定行政庁(都道府県や市など)それぞれの判断で、区域や期間、建築物の構造、用途、規模を限って指定する。指定された建築物は建築主事または指定確認検査機関の中間検査を受けなければ工事を続けられない。
AからBへ、BからCへと順番に不動産が売買された時に、AからBへの所有権移転登記を省略して、AからCへ直接登記すること。登録免許税を節約するための手法だが、売買の実態と、登記簿上の所有権の名義の移転が一致しない。05年3月の改正不動産登記法の施行によって、権利証に代わる登記識別記号の導入、登記原因証明書の提出など、手続きが変わったために、中間省略登記は適法ではないという見方も出ている。
銀行がもっとも優良な企業向けに融資する際の「最優遇貸出金利」のことを「プライムレート」という。そのうち、1年を超える長期資金の金利が「長期プライムレート」。省略して「長プラ」。みずほコーポレート銀行が新規発行する5年物の利付金融債の表面利率に0.9%上乗せしたものが長プラの水準になる。長プラの動きは住宅ローン金利にも影響する。都市銀行の変動金利は、以前は長プラに連動していたが、現在は新短期プライムレートに連動して決まる。
長期に渡って良好な状態で使用されることを目指し、そのためのハード・ソフト両面の措置が講じられた質の高い住宅。いわゆる「200年住宅」の考え方を受け継いで住宅政策に位置づけられた。長期優良住宅普及促進法に基づいた認定基準をクリアすると、税制の優遇措置などの支援を受けられる。住み始めた後も、計画的なメンテナンスを行い、定期的な点検や補修の記録を残した「住宅履歴書」を作成して保存する必要がある。
住生活の向上や環境負荷の低減のために、質が高い長寿命の「長期優良住宅」の普及を目指した法律。中古住宅の流通促進を図るのも目的の1つ。「200年住宅法」とも呼ばれる。財政や金融上の措置、情報提供、技術開発に関して、国・自治体・事業者の努力義務を定めるとともに、一定の基準に合った住宅の建築と維持保全の計画(長期優良住宅建築等計画)を認定する制度を創設した。2008年12月公布、09年6月4日施行。
割賦販売の一種。土地は持っているが建築資金が足りない場合などに利用するケースが多い。建築会社や住宅販売会社が、購入希望者に事前に一定の金額を積み立ててもらい、予定の金額(通常は建築資金の3分の1程度)になったときに建物を引き渡し、建築代金から積立金を控除した金額を月賦で返済する方式。業者の信用度が重要なので、積立式宅地建物販売業法で業者の許可制や積立金の保全措置などについて規制がもうけられている。
契約期限が来た時に契約の更新がなく、建物を取り壊して更地にして返還する必要がある借地権のこと。契約期間の延長がなく、立退料の請求もできない。借地借家法では次の3つの種類が規定されている。契約期間が50年以上の一般定期借地権、同10年以上50年以下の事業用借地権、そして同30年以上で、建物付で土地を返還できる条件の付いた建物譲渡特約付借地権。新築住宅の供給では一般定期借地権のタイプが一番多い。
定期借地権付きの建売住宅と、定期借地権の土地を建築条件付で分譲して注文建築で新築一戸建てを建てる場合がある。契約内容は、契約期間50年前後の一般定期借地権がほとんど。地代は2万~4万円台が中心。一時金を含めた総額は、所有権分譲の場合の4~5割程度低め。一時金は保証金のタイプが中心で、数百万円から2000万円程度が多い。所有権分譲に比べて、同じレベルの価格帯なら建物のグレードは高めになっている。
契約更新のない定期建物賃貸借権のこと。契約期間の上限はない。定期借地権のように借地借家法に権利として規定されているわけではなく、同法38条に定期借家契約ができると定められている。契約を結ぶ際に、家主は、借家人に対して公正証書などの書面を公布して「更新がなく期間満了により終了する」ことを説明する義務がある。また、契約終了の1年前から6か月前までの期間に契約終了の通知をする必要がある。
「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」の通称。全5条の簡単な法律で、いわゆる定期借家権(定期建物賃貸借制度)を設け、併せて国や自治体が良質な賃貸住宅の供給を促進するために必要な措置を取ること、自治体や公団・公社が生活困窮者のための公共賃貸住宅を供給することをうたったもの。1999年12月15日に公布され、2000年3月1日から定期借家契約による賃貸住宅の取引が可能になった。
住宅や別荘、会員権などを販売するときに、不動産会社などが金融機関と提携して、購入者が利用できるようにしたローンのこと。提携ローン以外の民間融資を非提携ローンと呼ぶ。提携先の金融機関は、銀行の他に生命保険会社、ノンバンクなどがあり、非提携ローンとは金利などの融資条件がやや異なるケースがある。条件は物件ごとに設定され、広告に内容が表示される。非提携ローンに比べると、手続きが簡単で融資実行もスムーズに進む。
定期借地権付の分譲マンションのこと。契約期間50年前後の一般定期借地権が多いが、建物譲渡特約付き借地権の場合もある。土地所有権の場合に比べて販売価格(総額)が3~4割程度安くなるが、1か月1万~2万円程度の地代がかかる。また、建物価格以外に払う一時金は、一戸建てがほとんど保証金なのに対して、マンションは保証金のケースと権利金のケースが半々。一時金の相場は、数十万円から1000万円以内が多い。
金融機関が不動産を担保に融資するときに、いわゆる「借金のかた」として設定する担保権のこと。借り手が返済できなくなった場合に、抵当権を実行して任意処分や競売などによって債権を回収する。地上権や永小作権なども抵当権の対象になる。厳密には普通抵当権と根抵当権があり、単に抵当権という場合は特定の債権を保全するための普通抵当権を指す。住宅ローンを借りる時は金融機関と抵当権設定契約を結び、登記簿に登記される。
ローンを借りて不動産を取得したときに必要な登記。不動産登記簿の乙区に、抵当権設定の日付、ローン契約の締結などの原因、債権額(借入金額)、利息、損害金、債務者(借り手)、債権者(金融機関など)が登録される。登記に必要な書類は抵当権設定契約書、権利証、印鑑証明書、司法書士への委任状など。抵当権を設定する時には登録免許税がかかる。通常は「債権額×0.4%」。一定の条件に合うと税率が0.1%に軽減される。
売買契約のときに買主から売主に支払われるお金。代金の1~2割が一般的。単なる代金の前払いとは違い、特別な意味を持つ。手付金には、証約手付、違約手付、解約手付という3つの性格があり、特に定めがない場合や売主が不動産会社などの宅建業者の場合には解約手付とみなされる。宅建業者は、売買代金の2割以上の手付金を受け取ってはならない。また、手付金額が2割以下でも一定の前金保全措置が法律で義務づけられている。
不動産取引で、売主が宅建業者の場合は手付金などの前金の金額制限、保全措置の義務づけなどがあるが、仲介会社を通した個人の売主と買主の取引には、これらの規制がない。こうした取引の安全のために、(社)全国宅地建物取引業保証協会や(社)不動産保証協会などが実施しているのが手付金保証制度。保証対象は指定流通機構(レインズ)に登録された媒介物件のうち住宅と居住用宅地。保証限度額は1000万円または代金の20%のうち低いほう。
不動産証券化の形態のひとつ。デット(Debt)は負債や債務という意味。デット型証券は、ローンのように利回り(利息と償還金)が確定している債権を証券化して社債などを発行するしくみ。賃料収入を裏付けに発行する形もある。元本割れのリスクはない。エクイティ型と組み合わせて証券化する場合、優先的に収益を得られるかわりに、エクイティに比べてリターンは低め。抵当証券、住宅ローン債権信託の受益権証書などがある。
契約にかかわる手付金や保証金のこと(deposit)。たとえば香港で部屋を借りるときは、まず仮契約としてイニシャル・デポジットと呼ばれる手付金を支払う。家賃の1か月分が相場。これは本契約後に最初の家賃に充当される。本契約の際にはレンタル・デポジットと呼ばれる保証金を支払うが、こちらは通常家賃の2か月分。保証金は契約期間終了時に各種精算後に返納される。期間満了前に契約を解除する場合は返ってこない。
戸を開け閉めするときに、扉の動きを制御する部分のこと。開き戸の場合は、閉めるときに扉が行きすぎないように建具枠に突起物を設ける。開けるとき、壁に直接当たらないように付けるのが「戸当たり金物」。床や幅木に付けるものと、扉の上部に付けるものがある。後者を通称「帽子掛」という。引き戸の場合は、開け閉めするときに勢い良く建具枠や柱に当たって音がしないように、金物やフェルト、ゴム製クッションなどを付ける。
不動産では、土地・建物にかかわる権利関係を法的に登録する台帳のこと。登記簿に登記していないと、第三者に対抗できない。登記簿は土地、建物それぞれにあり、中身は表題部、甲区、乙区に分かれている。表題部には、土地登記簿の場合は所在地の地番、地目、地積など、建物登記簿の場合は家屋番号、構造、床面積などが出ている。甲区には、所有権にかかわる事項、乙区には抵当権などの所有権以外の権利に関する事項が含まれる。
所有権を登記する時などにかかる国税の1つ。登記の種類によって税率が決まっている。不動産の取引にかかわるのは、新築住宅を買ったり新築した時の所有権保存登記、土地や中古住宅を買ったり相続した時などの所有権移転登記、住宅ローンを借りた時の抵当権設定登記などがある。各税率は別表の通り。マイホームの特例もある。法務局などの登記所に申請する時に支払うが、手続は司法書士に代行してもらうのが一般的。
住宅金融支援機構や財形住宅融資など、特定の住宅ローンを借り入れる場合に、加入することができる火災保険。一般の火災保険に比べて保険料は4割から6割くらい安いとされる。保険期間は1年契約または融資期間を限度とする長期契約で、保険料をローン契約時に支払う。保証対象は民間の損保会社による住宅総合保険と同様の内容(家財は対象外)。融資元から第一順位の質権を設定され、保険金は融資額の返済に優先的に充てられる。
火災保険に加入していても、地震が原因で発生した火災や延焼による被害は保証されない。これに対して、地震、噴火、津波による火災、損壊、埋没、流失などを保証するのが地震保険。住宅金融支援機構などの融資を借りる場合に特約火災保険と併せて契約するものを特約地震保険という。ただし強制加入ではない。全壊の場合に保険金額の全額、半壊の場合は同50%が保証される。保険期間は5年を限度に特約火災保険と同一か1年間。
中堅所得者のファミリー向けの公共賃貸住宅の一種で、特定優良賃貸住宅を省略して「特優賃」という。民間の土地所有者が一定の条件に合った賃貸住宅を建築し、自治体や公社が長期契約(最長20年間)で借り上げたり、管理受託をして運営する。賃貸住宅の建築にあたって、国や自治体からの建設費の補助と公庫の低利融資が受けられるうえに、入居者の負担を和らげるための家賃補助を受けられる。入居者は収入に応じて負担額が変わる。
2種類ある借地権のうちのひとつ。地上権とは違い、売却や転貸、建て替えの際には地主の承諾が必要になる。売却や建て替えの承諾を得るために、借地権価格の1割程度の承諾料を支払うのが一般的。土地賃借権には抵当権の設定はできないし、地主は賃借権を登記する必要はない。ただ、定期借地権の場合は登記されるケースが多い。なお、賃借権の法的性格は、賃貸借契約によって対価を払って使用できる権利で、債権に当たる。
土地の面積を表示するときには、通常、水平投影面積が使われる。つまり傾斜地や崖地が含まれていても、真上から水平に見た時の面積なので、実際に利用できる平坦な面積とは違うことに注意。傾斜地が多い場合は造成や整地などが必要になる。また、土地の実測面積と公簿面積(登記簿上の地積)が違うこともある。実測面積が大きい場合を縄延び、小さい場合を縄縮みという。土地取引の際には必ず土地家屋調査士に実測してもらうこと。
現地から交通機関の最寄り駅や商店、学校、公共機関などへの歩いていく場合の所要時間は、不動産公取協の表示規約で、道路距離80mにつき1分を要するものとして計算することが定められている。1分未満の端数が出る場合は切り上げて計算する。たとえば500mの場合、[500m÷80m/分=6.25分]となり、表示は「7分」となる。信号や踏切の待ち時間、坂・階段の昇り下りによる時間のロスなどは計算上で考慮されていない。
不動産鑑定評価の手法のひとつ。評価すべき不動産と条件の近い物件の取引事例を収集し、それとの比較によって評価する方法。鑑定基準では、売り急いだ物件や投機的な物件などは事例から排除することになっている。現在の日本の不動産業界では、中古住宅・中古マンションの評価、査定などで一般に使われている手法。これによって割り出した価格を比準価格という。適切な取引事例が見つかるかどうかで評価の結果が左右される。
「値下げ断行 2割り引きで販売」とか、旧価格を棒線で消して「特価3000万円」といった形で、実際に販売する価格と比較対象価格を同時に表示すること。表示規約では不当な二重価格表示を原則として禁止している。ただし、特定の条件を示して割引率や金額を示す場合、現に3か月以上販売していた事実のある建売住宅や新築マンションを値下げした時に新・旧価格を併記する場合は、例外として認められている。中古は不可。
超長期に渡って循環利用できる質の高い住宅。または、その普及を目指す総合的な取り組み全般を指す。2007年5月に自民党政務調査会・住宅土地調査会から提言された「200年住宅ビジョン」で位置づけられた考え方。「長期優良住宅」の前身。ストック重視の循環型社会への転換や、成熟社会にふさわしい豊かな住生活の実現を図るために必要な、住宅のロングライフ化を象徴的に示す言葉として「200年」と表現された。
不動産を運用対象にした投資信託のこと。REIT=リートは「Real Estate Investment Trust」の略で、直訳すると「不動産投資信託」。米で1960年代から登場。投資家から集めた資金を複数の不動産に投資し、その賃料収入や売却益で投資家に配当金を支払う。日本でも2000年11月の改正投信法施行で解禁された。投資法人を設立して運用する会社型と、信託銀行が運用する信託(契約)型がある。
不動産共同投資事業のなかで、民法に基づく任意組合を結成して行う方式のこと。出資された財産は組合員の共有財産になり、組合員は共有持ち分権を購入して、収益の分配を受ける形になる。権利関係は不動産を所有しているのと同じ。共同事業から得られた収益については、組合には課税されず、組合員に分配された段階で不動産所得として課税される。各組合員は事業に対しての無限責任を負う。不動産特定共同事業法の対象の1つ。
厚生年金保険や国民年金の加入者を対象にした住宅ローンで、住宅金融公庫融資と並ぶ公的融資の代表だった。融資母体である年金資金運用基金の2006年4月1日解散にともなって、06年3月31日で同基金の業務も廃止された。実質的には、新規申し込みを停止した05年1月末時点で融資制度は消滅している。既に融資済みの住宅融資債権の管理や回収については、独立行政法人福祉医療機構が行う。
ローン返済ができなくなったときに、担保になっている資産以外に債権の取り立てが及ばない非遡及型融資のこと。アメリカで主流のローン。日本では、融資対象の不動産を担保に取ったうえに追加担保や個人保証を求めるリコースローン(遡及型融資)が一般的。ノンリコースローンは、担保割れの状態になっていてもほかの資産からの回収ができないために、厳密で精度の高い評価が必要になる。また、一般のローンより金利は高めになる。
仲介会社に手持ち物件の売却や希望物件の購入を依頼するなど、媒介を依頼した場合に結ぶ契約のこと。業者は依頼者に対して、物件の所在地や種別、取引価格、媒介契約の種別、媒介契約の有効期間、報酬金額などを明記した書面を交付する義務がある。売却の場合は依頼した時点、購入の場合は物件が決まった時点で契約するのが普通。媒介契約の種別は、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3つ。標準媒介契約約款がある。
買主が購入申し込みをして売主が承諾すれば売買契約が成立する。口約束でも法的に問題ないが書面にするのが普通。不動産会社と取引する場合は、売買契約の前に重要事項説明が義務づけられている。大切な事柄はその段階で事前にチェックする。売買契約の際には、所有者や土地・建物の面積などが登記簿の内容と違いがないか、手付金など前金の金額や性格、代金の支払い方法や引き渡しの時期など、納得した上で署名なつ印すること。
専門業者が有料で住宅の清掃サービスをすること。「清掃代行サービス」ともいう。ハウスクリーニングのシステムは、定期サービスと単発のスポットサービスに分かれる。さらに、それぞれに特定部分を対象にしたものと家全体まるごと引き受けるものがある。料金は見積もりで決めるのが普通。サービスの頻度と程度、広さ、部屋数、汚れ具合、家具やモノの数、家族数などで大きく変わる。ネットで簡易見積もりを実施している業者も多い。
電車などの最寄り駅から現地までの距離が離れていて、バス交通を利用して行き来する物件のこと。郊外の大規模開発ではバス便が多い。物件概要には「××駅よりバス○分、××停留所下車、徒歩○分」と表示される。鉄道が未整備の地域では、バス停や著名な公共施設などからの徒歩時間が表示される。バスの所要時間は、バス会社のダイヤを基にした日中平常時の時間が表示されるのが普通。交通渋滞などによるロスは考慮されていない。
バリア(障壁)をなくすこと。建築用語では、建物内の段差を無くしたり出入口や廊下の幅員を広げるなど、障害者や高齢者などが生活するのに支障のないデザインを導入することを意味する。障害者の社会参加をはばむ制度的、心理的な障害の除去という意味にも使われる。現在は、建物内に限らず、街づくりや交通機関でもバリアフリー化が進んでいる。英語では「アクセシビリティ」(accessibility)のほうが通用する。
バリアフリー化を図る改修工事をするために借り入れたローン残高の2%を、5年間に渡って所得税から控除する制度。2007年度税制改正で創設された。対象になるのは、廊下の拡幅、手すりの設置、屋内の段差の解消、浴室改良などの8種類の工事で、補助金を除く合計金額が30万円を超えるもの。2013年末までに入居した場合に適用される。また、固定資産税についても税額を3分の1にする同趣旨の特例がある。
旧・住宅金融公庫が実施していたリフォーム融資の一種。60歳以上の高齢者が一定のバリアフリー化のための改良工事をするときに、毎月の返済を利息分だけにする「高齢者向け返済特例制度」を適用したもの。元金の返済は、融資の申込者が死亡した時に相続人が支払うか、自宅を処分して一括返済する。融資限度額は500万円まで、対象は一戸建てのみ。高齢者居住支援センターが連帯保証を行なう。現在は住宅金融支援機構が融資。
分譲地や建売住宅、新築マンションなどの広告などに出ている価格が「販売価格」。売主の不動産会社が、原価に経費や利益を上乗せした金額をベースに、マーケティング調査などを考慮に入れて値付けをした金額。分譲地以外は消費税込みの表示。販売戸数が多い時は、広告では最低価格と最高価格、最多価格帯を出す。新規販売の時には価格交渉に応じないことが多いが、販売価格と実際の売買価格(成約価格)は必ずしも一致しない。
土地やマンションの相場を比較する時に、販売価格を土地面積または専有面積で割ったものを、3.3m2=1坪当たりで表した数値が販売坪単価。土地100m2で1000万円なら、m2単価は10万円、販売坪単価は約33万円になる。建売住宅や中古一戸建ての場合は、単価で比較せず、土地と建物に分けて考える。販売坪単価で比較する場合は、立地や物件種別、築年、設備グレードなどが似ている物件同士で見ることが重要。
新築マンションや建売住宅の売行き状況を表す指標のひとつで、初めて売り出しを始めた月に、販売戸数のうち購入申し込みの入った戸数の割合を示したもの。「初月販売率」を使うのが一般的。「契約率」ということもあるが、申し込んだ後に実際に本契約に至るとは限らない。また、通常は売主による自己申告を基に割り出しているため、中には水増しされているケースもある。月末に販売開始した物件は販売率が低くなる可能性がある。
売買の場合、契約の時に支払った手付金を除いた残金の支払いと引き換えに、不動産が売主から買主の手に移ること。法的には「占有」できる状態になることを引き渡しという。仲介会社を通して買った場合は、この時に仲介手数料も精算する。賃貸の場合も前家賃や仲介手数料などを精算して引き渡しを受ける。不動産では、通常の商品のようにモノ自体をやり取りすることができないので、鍵を渡すことをもって引き渡しになる。
不動産所得、事業所得、雑所得、山林所得の金額を計算するときに、総収入から差し引くことのできる経費のこと。必要経費に算入できるのは収入を得るために直接かかった費用、販売費、一般管理費など。土地活用や不動産投資にかかわる必要経費では、減価償却費とローンの支払利息が代表的。必要経費の額が収入よりも大きくなり、帳簿上の所得がマイナスになると、ほかの所得と損益通算することによって節税効果を得ることができる。
旧・住宅金融公庫の収入基準の一つで、毎月返済額の5倍以上の月収があることが必要だった。ここでいう月収とは、いわゆる月給とは別で、ボーナスを含む前年度の税込み年収を12カ月で割った金額。たとえば年収600万円なら月収は50万円。毎月均等払いの返済額が、この5分の1=10万円以内に収まらなければならない。民間の住宅ローンやフラット35では、返済負担率で借り入れ可能額に制限を設けている。
「不動産の表示に関する公正競争規約」の略。不動産広告を出す時の表示上のルールのこと。青田売りの場合に建築確認が下りないと広告を出せないこと、交通・所在・面積・環境・価格などの詳細な表示基準、不当表示の禁止などが定められている。業界の自主規制だが、違反すると不動産公正取引協議会から警告や違約金などが課せられる。2000年6月にインターネット上の項目などを盛り込むなど、時代に合わせて改訂されている。
建物を新築した場合などに、不動産の登記簿を新たに開設して表題部を設けるための登記。建物の所在地、種類(使用目的)、構造、床面積、建築時期などを申請書に記載して、建物の図面とあわせて、完成後1か月以内に届け出る必要がある。申請義務を怠ると10万円の過料が課せられる。申請を受けると、登記官が現地調査をして表示登記が行われる。表題部には所有者も記載されるが、所有権を確定するには所有権保存登記が必要。
新築一戸建てやマンションに設定されている、設備機器・外装・内装仕上げなど、その商品の標準となる仕様のこと。商品の「坪単価」は通常、この標準仕様をもとに算出されている。その商品の選択肢として用意されている色や素材のバリエーションでも、標準仕様と同じ費用の範囲内で選べるものと、余分に費用がかかるものがある。モデルハウスやパンフレットの写真には標準仕様外の建材や機器が使われていることも多い。
建物を高い位置に支え、地上面(通常の1階に相当する部分)の全部または一部を開けてつくる空間のこと。住宅では1階を車庫に利用するケースなどにみられる。耐震性を損なわないために、建物を支える構造に注意が必要。ピロティを庭のような外部空間や、単なる通路に利用する場合には床面積から除外できる。ピロティの一部を車庫や自転車置き場、倉庫などに使用する場合は、その部分の面積を床面積に算入しなくてはならない。
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」のこと。「住宅品質確保促進法」ともいう。住宅のクオリティを高め、ユーザーの利益を保護し、トラブルを円滑に解決することを目的に制定された。この法律の柱は次の3つ。1.消費者でも性能を比較できるよう共通ルールを定めた住宅性能表示制度の創設。2.裁判に至る前にトラブルを解決する住宅紛争処理体制の整備。3.新築の基本構造部分の10年保証を義務づけた瑕疵担保責任の充実。
民法で規定された権利のひとつ。特定の物を支配することを他人に認めさせることができる、非常に効力の強い権利で、占有権、所有権、地上権、永小作権、地役権、入会権(いりあいけん)、留置権、先取特権、質権、抵当権の10種類ある。また、他人の所有する土地を一定の範囲で利用する用益物権と、債権を担保するための担保物権という分け方もある。鉱業権、採掘権、漁業権、入漁権などのように、民法以外の法律で認められた物権もある。
投資対象となる不動産の収益率を判断するための指標。インデックス(index)は「索引」という意味。対象物件の時価評価、成約賃料、経費、テナントの財務評価などの正確な情報開示を基にした投資利回り(インカム収益率、キャピタル収益率、総合収益率)をエリア別に示す。公示地価などの公的地価指標を広義の「不動産インデックス」と呼び、投資利回りに関する「不動産投資インデックス」と区別する考え方もある。
オークション(auction)の直訳は「競売」。不動産では「けいばい」、それ以外は「きょうばい」と読む。最近出てきた不動産オークションは、裁判所の競売物件や国有宅地の一般競争入札とは違い、不動産会社やコンサルタントが新しく導入したシステムを指す。対象物件は、通常の市場で流通している新築・中古物件で、一般の人が誰でも参加できる。ホテルなどの会場で開催する場合と、インターネットを利用した場合がある。
不動産の取引に関する仕事をする会社という意味では幅広い範囲になる。新築住宅の開発分譲をするデベロッパー、住宅の受託販売をする代理会社、中古住宅の売買や賃貸の仲立ちをする仲介会社。管理会社や建築業者も建物という不動産にかかわる会社だ。ただ法的には、事務所を設けて、宅地建物取引業(宅建業)免許を取り、専任の宅地建物取引主任者をおかないと不動産業は営めない。その意味では、不動産会社=宅建業者といえる。
不動産鑑定士によって、不動産の価格や賃料などの経済価値を総合的に評価すること。価格の評価方法は、原価法、取引事例比較法、収益還元法の3つ。賃料は新規賃料と継続賃料に分け、それぞれ複数の手法を駆使して評価する。その上で2002年7月に全面改正された不動産鑑定評価基準に基づいて鑑定評価書が作られる。一般的な住宅に適用されることはまれ。金融機関の担保評価や公的な土地収用、高額物件に使われる。
不動産の広告ルール(表示規約)と過大な景品付販売の制限(景品規約)に基づいて、不動産業界の指導や研修、広告審査を行っている自主規制団体(略称「不動産公取協」)。不動産広告分野のご意見番的な存在。主な業界団体が加盟しており、全国に9つの不動産公取協がある。一般消費者からの苦情処理も扱う。規約の違反者には是正措置を警告し50万円以下の違約金(警告に従わない場合は500万円以下)を課すことができる。
オフィスビルなどの不動産を1棟ごとに売買する取引に対して、所有権を共有持ち分権などの小口に分けて販売する商品のこと。1980年代後半に登場した、共有持ち分権の信託方式による不動産共同投資商品が先駆け。信託銀行が管理運営して、賃料から信託報酬や経費を差し引いた残りを配当するしくみ。その後、海外不動産を対象にしたものなど間口が拡大。バブル崩壊で投資家に被害が発生したため、法律による規制が導入された。
一般的な意味としては、不動産に関する依頼者からの相談に対する解決策などを専門的な立場から示すこと。特に法的な資格ではない。ただし財団法人不動産流通近代化センターが認定する「不動産コンサルティング技能登録者」の行う事業としては、別表のような定義がある。また、報酬を得て行う業務の内容は、宅建業法上の業務(代理や媒介など)とは分離独立していること、開発や管理業務の受託を前提としないことなどが求められる。
不動産を取得した人に課税される都道府県税。この場合の「取得」には、購入のほかに、新築や増改築、交換、贈与、寄付などによって所有権を得た場合も含まれる。ただし、相続や法人の合併等による取得は非課税。本来は申告納税が原則(自治体により申告期限が異なる)。不動産取得税の課税標準は固定資産税評価額。標準税率は本則が4%。2012年3月31日までに取得した住宅は3%。住宅の取得には軽減措置がある。
商業ビルや賃貸マンションなどの不動産を担保に証券を発行して資金を調達する手法のこと。投資家は賃料収入などの収益に基づいて、利払いや配当などを受ける。不動産に関する債権を証券化するデット(社債など)型と、不動産の所有権を証券化するエクイティ(出資証券・株式など)型の2つのタイプがある。デット型は運用利回り(インカムゲイン)を重視したもの、エクイティ型は売却益(キャピタルゲイン)も期待できる。
住宅ローンは、通常、自宅用の住宅購入以外には使えない。別荘やセカンドハウス、ゴルフ会員権、リゾートクラブ会員権、あるいは土地だけを購入する時で、かつ提携ローンがない場合には、不動産担保ローンを使う。これはほかの借金の担保に入っていないか、担保余力がある不動産に抵当権を設定することで融資をするもの。したがって購入する不動産以外の不動産を持っていることが必要。また使い道が自由の場合と限定の場合がある。
不動産投資を検討している顧客に対して、専門的な立場から的確な助言や調査報告を、報酬を得て行う業務。市場調査・分析、適格診断、運用に関する評価など、アドバイスのみを行う「一般不動産投資顧問業」と、助言に加えて投資一任業務を行う「総合不動産投資顧問業」の2種類に分かれる。国土交通省の不動産投資顧問業登録制度の登録者には、契約締結前後の書面の交付、契約書の作成など、一定のルールが義務づけられている。
複数の投資家が出資して、不動産会社などが事業を行い、その運用収益を投資家に分配する事業を「不動産共同投資事業」という。これによって販売される不動産小口化商品を買う投資家を保護するために、1995年4月に施行されたのが「不動産特定共同事業法」。事業者の許可制など各種の規制を設け、投資家への情報開示を義務づけている。数度の改正で規制緩和を実施。最低出資単位の規制は2001年に7月に撤廃された。
金融機関などが、不動産や金融資産の運用、税務相談、事業承継などについて専属の担当者(プライベートバンカー)を通して相談に応じるサービス。預かり資産が1億円以上など、特定の富裕層向け。相談は無料で、金融商品の売買の際に発生する手数料がかかる。個人の資産状況に応じたテーラーメイドのコンサルティングをするのが基本だが、金融機関によって取引制限があったり、系列企業の商品を紹介するなどの制約もある。
中古一戸建ての建物は、現在の日本の不動産市場では、築年が10年を超えると経済的価値が急速に下がり、ほとんど土地だけの価値になってしまう。そのため、物理的には建物が十分住める状態でも、物件広告では「中古一戸建て」とは表示されず「古家付土地」あるいは「売地(古家あり)」となる。物理的に住めない場合は「売地(廃屋あり)」。どちらにせよ、すぐに建築したい場合には土地代の他に建物の解体費もかかる点に注意。
個々の不動産を1つの財産(property)として捉え、価値を高めて投資効率を上げる業務のこと。建物や設備のメンテナンス業務を指示するだけでなく、テナント管理やコスト管理、収益性を高めるためのリニューアルのコンサルティングなども合わせて行う。「物件運営管理」と訳せば、通常の不動産賃貸管理業務に近いともいえるが、キャッシュフロー重視で投資利回りを向上させるという役割もあり、より重要な立場といえる。
主に銀行で採用されている住宅ローンの返済方式の1つ。返済額を増やしたり減らしたりできるタイプ。たとえば当初の返済額を多めに設定し、子供の教育費がかかる時期の返済額を減らし、その後、再び返済額をアップするといった形で、ライフプランに合わせて柔軟に組むことができる。銀行によって「フレックスプラン」「返済額指定機能」「ゆとりプラン」など名称が違う。最初にプランを固定する場合と途中で変更できる場合がある。
住宅ローンを借りるときの収入基準のひとつで、年収に対する年間返済額の割合。「ローン返済率」ともいう。通常は税込み年収をベースに計算される。たとえば年収600万円で、住宅ローンの年間返済額が120万円の場合、返済負担率は[120万円÷600万円=20%]。都市銀行では借り手の年収の高さに応じて返済負担率の上限を設定しており、最大35~40%以内。一般に税込み年収の25%以内が望ましいとされる。
最初に借り入れたときの金利が返済途中に変化するもの。短期プライムレート(短プラ)や長期プライムレート(長プラ)に連動して設定される各行の長期金利を基に決まるのが一般的。借り入れ中の金利は、年に2回だけ見直されるタイプと、毎月見直されるタイプがある。また、金利が変動しても返済額は5年間据え置かれるタイプ(利息と元金の割合を変えて調整)と、金利変動ごとに返済額も連動して見直されるタイプがある。
住宅ローンを、毎月支払い分と年2回のボーナス時加算分に振り分けて支払う返済方法のこと。ボーナス払い併用返済、ボーナス時増額返済などという。ボーナス払い月は、毎月返済額とボーナス時加算額の合計金額になる。ボーナス時加算分は借入金額の2分の1以内。なお、ボーナス時加算分の金額が同じでも、ローンの支払いが始まった月から、最初のボーナス払いまでの据え置き期間によってボーナス時の増額返済額が変わってくる。
契約を守ることを担保するために支払うお金を一般に保証金という。契約終了後に無利息で返還されるのが普通。全額返還せず1~3割償却されるケースもある。不動産の世界では、敷金とほぼ同じ意味。貸家の場合、関東方面では敷金、関西方面では保証金という言葉を使う(ビル等の場合は関東でも保証金)。貸家の保証金の相場は家賃の3~10か月分。借地の場合、普通借地権では権利金、定期借地権では保証金の割合が高い。
土地区画整理事業の際に、事業費にあてるなど一定の目的のために、換地として定めないで施行者の手元に残す土地のこと。換地処分後に施行者が取得する。事業の施行前より施行後の宅地価額が増加した場合に、その金額の範囲内で保留地を定めることができる。なお、市街地再開発事業で新設した施設や建物のうち、地権者が取得する権利のある床以外の部分を「保留床(ほりゅうしょう)」という。施行者は保留床を分譲したり賃貸することで事業費を賄う。
ハウスメーカーでは「本体価格」とも呼び、「家そのもの=本体」をつくるために必要な費用を指す。基礎・土台から構造体の工事、内装・外装や設備機器などの材料費・工賃合計を指す。設備にかかわる工事費用には、ここに含まれないものがあるので要注意。屋外1m以上の給排水工事(水道管の引き込みや受水槽の設置)などは除外されることが多い。また、照明器具代や空調工事などは、業者によって算入する場合とそうでない場合がある。
申込証拠金、手付金、中間金など、物件の引き渡し・残金決裁までに支払うものを総称して「前金」という。売主が不動産会社などの宅建業者の場合で、未完成物件の取引では前金が代金の5%または1000万円を超えたとき、完成物件では同10%または1000万円超のときに、金融機関などの前金保証をつけて保証書を交付しなければならない。これが前金保全措置。他に国土交通省の指定保証機関による手付金等保管制度もある。
マンションなどで採光や避難通路を確保するために設けられる敷地周りの空地のこと。1階住戸の窓に面する敷地の部分を、一定の幅で建物を建てられない何もない状態に保つ規定になっていることから「窓先空地」という。採光は、隣地境界や別の建物からの水平距離と開口部までの垂直距離の割合が建築基準法で決まっている。火災時の避難通路の確保は、東京都など一部の自治体ごとに条例などによって規定されている。
マンション管理法に基づいて国土交通省の登録簿に登録された管理会社のこと。登録の有効期間は5年。無登録営業や名義貸しは禁止。管理受託する30組合ごとに1名の管理業務主任者を各事務所に設置する義務がある(5戸以下のマンションだけを扱う事務所は不要)。また、管理受託契約に先立ち、別表の重要事項を管理業務主任者を通して説明しなければならない。違反者は、1年以下の懲役または最高で50万円以下の罰金。
マンションの管理を適正に進めるために制定された法律。「マンション管理適正化推進法」ともいう。2001年8月1日に施行。マンションの管理組合や区分所有者などに専門的なアドバイスや指導を行う「マンション管理士」の資格を定めたこと、マンション管理業者の国への登録を義務づけたことなどが柱。登録業者は「管理業務主任者」を一定の事業所ごとに設置し、業務内容や費用など重要事項の説明義務を負う。違反者には罰則も。
新築マンションのモデルルームは、1つ1つの物件ごとに構造や設備仕様が異なるため物件単位で作られるのが一般的。これに対して、自社物件に統一した規格を作り、一定のシリーズとして販売するケースもある。この場合に、複数の物件に共通した設備仕様を展示するために設けたのがマンションギャラリー。建物版のショールームともいえる。常設の場合と、一定地域一定期間の場合がある。物件情報も併せて提供することが多い。
マンションの共用部分の維持管理内容が、独立行政法人住宅金融支援機構のフラット35や国の住宅性能評価制度が定める要件を満たしていることを財団法人住宅金融普及協会などの第三者機関が認定して登録する制度。登録内容は、登録機関のホームページで公開される。新築の事前登録も可能。情報を登録して登録証を交付されると、住宅性能表示制度の手続きの簡素化や共用部分リフォームローンの保証料割引などの特典がある。
老朽化した既存マンションの建て替えをスムーズに進めるために制定された法律。2002年6月12日成立。法律の柱は、都道府県知事の認可を受けた法人格を持つ「マンション建替組合」を設立できること。金融機関からの融資も受けやすくなる。また、再建マンションに移行するにあたっての権利変換、税制等の支援措置を講じること、市区町村長が危険な老朽化マンションの建て替え勧告ができること、などを定めている。
一般的には、建築工事費の積算を示した書類のことを指すが、とくに注文住宅の見積もりの場合、工事費計算の根拠となる設計図や設備・仕上げ表もあわせて「見積書」と総称することもある。初期段階(相見積もりなどを頼むとき)では、おおよそのプランと仕様をもとに「概算見積書」として作成・提示されるのが普通。打ち合わせの中で順次、設計の詳細、工事費の明細を詰めていき、工事請負契約の前提となる見積書が作成される。
10棟に満たない規模で分譲される建売住宅団地のこと。大規模開発がスケールメリットを生かして良好な住環境を創造できるのに対して、ミニ開発は周辺の住環境の善し悪しに左右される。総じて敷地面積は広くないので、庭もあまりとれない。都心に近い地域では1区画100平方メートル以下の狭小地で、住宅が密集しているケースも多い。ただ、大規模開発が郊外に多いのに比べて、ミニ開発は比較的利便性の高いエリアでも行われる。
1層の住戸であるフラット(flat)に対して、2層以上で1住戸を構成するマンションをメゾネット(maisonette=複層住戸)形式という。2階建ての一戸建てのように室内に上下階へ行く階段がある。玄関のあるフロアにはLDK、上や下のフロアに寝室を配置するなど、パブリック空間とプライベート空間を明確に分けることができる。またリビングの上を吹き抜けにするなど、立体的な空間構成や、一戸建てにより近い間取りも可能。
めやす賃料とは賃料、共益費・管理費、敷引金、礼金、更新料を含み、賃料等条件の改定がないものと仮定して4年間賃借した場合(定期借家の場合は、契約期間)の1ヶ月当たりの金額である。※ 敷引金は、敷金の償却、保証金の償却など、預かった金銭から必ず差し引くものをいう。
揺れを小さくする効果のある免震装置を建築物に設置し、地震の影響を通常の3分の1~5分の1程度にやわらげる構造のこと。水平に柔らかく動くバネの原理で地震の揺れを建物に伝えにくくする積層ゴムや、振動エネルギーを吸収するダンパー(振れ止め)を基礎と建物の間に設置するタイプが多い。建物の中層階に設置するタイプもある。以前は中高層建築物に多かったが、最近は超高層マンションや一戸建て用の装置も開発されている。
住宅ローンの貸し出しを専門とするノンバンク(mortgage bank)。住宅金融の専門機関「モーゲージ・カンパニー」の一種で、「モーゲージ・バンカー」ともいう。資金調達の手段は、銀行などが行う預金獲得ではなく、ローン債権の証券化によって行う。自社ではローン(資産)を保有しない。アメリカでは、住宅ローンの貸し手の半数以上はモーゲージ・バンク。日本では、フラット35を扱うノンバンクなどがその例。
住宅ローンの貸し手と借り手を結びつける仲介業者(mortgage broker)。住宅金融の専門機関「モーゲージ・カンパニー」の一種。住宅を購入してローンの借り入れを希望するユーザーに対して、資金計画等のアドバイス、返済プランの提案、金融機関の紹介・取り次ぎ、ローン申請代行、手続きのサポートなどを行う。アメリカではローンの相談先として定着している。手数料は、取り次いだ金融機関から得るケースが多い。
新築マンションや建売住宅の申し込み受付の際に支払うお金のこと。購入の意思があることを示して、売買交渉の優先権を得るという意味がある。一般に5万円から10万円程度で、正式な契約まで至らない場合には返還してもらえるのが普通。ただし、法的な根拠があいまいなため、契約しないと没収されるおそれもある。支払う場合は、領収書等のただし書きに「申込証拠金として受領、契約が成立しない場合は返還する」と明記してもらうこと。
建物を設計するときの基本的な寸法のこと。日本の一般的住宅では「910mm=3尺」単位の「尺モジュール」が使われている。いわゆる田舎間(関東間)がこのサイズ。関西の伝統的住宅では「955mm=3.15尺」単位の京間(本間)が用いられてきた。最近のプレハブ住宅などでは「1m」単位の「メーターモジュール」を採用するケースが増えている。廊下幅や部屋を一回り広くでき、バリアフリーにも対応するメリットがある。
複数の人で土地や建物の所有権を共有している場合に、一人当たりに割り当てられた権利のことを持ち分(共有持ち分。借地権の場合は準共有)という。一般の個人が購入するマンションでは、建物の共用部分や敷地については持ち分の共有。一戸建てで周辺住民との共有の私道がある時も、持ち分が関係してくる。単独の所有権と共有持ち分の場合では、不動産にかかわる税金についても、扱いが異なるので注意が必要。
ハウスメーカーが開発した企画型商品の実物大住宅見本のこと。商品パンフレットには「1坪当たり○万円から」というように出ているが、モデルハウスの建築費はそれよりも高い。商品バリエーションの豊富さを見せて「夢を売る」ことを目的にしているため、標準仕様以外のオプションを多用している。延床面積も60坪(約200平方メートル)程度と一般的住宅よりも広い。外観イメージや個々の設備仕様を見るための参考程度に考えること。
新築マンションでは棟外モデルと棟内モデルがある。棟外モデルは未完成販売のケースで、間取りや設備仕様を見せるために作られた実物大模型。骨組はハリボテ。現地の敷地内にある場合と、現地と離れた場所に設置されている場合がある。小規模マンションでは、設備仕様の見本を展示しただけのサンプルルームを作っているケースもある。棟内モデルは建物が完成している場合で、実際に販売する住戸の1つをモデルにしている。
物件広告に出ている電車やモノレールなどの最寄り駅は、実際に現地から一番近い駅を示すのが普通だが、2駅以上利用できる場合は、急行停車駅や著名な駅のほうを最寄り駅として大きく表示することもある。表示された最寄り駅をメインで利用したほうが便利な場合もあるが、実際にはマイナーな駅のほうが利用しやすいこともある。複数の駅を利用できる場合は、それぞれの駅までの距離、周辺状況を確認することが好ましい。
山腹や丘の斜面などの傾斜地を造成するときなどに、他から採取した土砂を古い地盤の上に盛り上げて平らにしたところを「盛土」、土砂を削り取って残った部分を「切土」という。十分な締め固めをしていない盛土は軟弱で、地震による地割れ、建物の荷重による不同沈下などの要因になる。粘土層などの軟弱地盤の上に盛土をすると、盛土の重みで粘土層が圧縮されて沈下する「圧密」現象が起きる。「切土」は比較的良質な地盤。
賃貸住宅の契約をするとき保証人をつけることが難しい場合に、地方自治体、民間保証機関、ボランティア団体などが、費用を支払うことで一定期間の家賃の債務保証を行うシステム。保証料は月額家賃の数割から1か月分程度までさまざま。高齢者居住支援センターが高齢者向けに行っている制度は、期間が2年間で保証料は家賃の35%、最大6か月分の保証をするもので、高齢者円滑入居賃貸住宅へ登録している住宅が対象。
都市部から地方へ移住する現象で、地図上の動きをアルファベットになぞらえた表現。「Uターン」は生まれ故郷から都会へ出てきた人が再び出生地へ戻ること。「Jターン」は一度都会へ移った後に出生地に近い中規模の街などへ戻ること。「Iターン」は出生地とは別の地方へ移り住むこと。動機やキッカケは、都市部の地価高騰による住宅難や就職難などの現実的事情によるものから、自分探し、ライフスタイルの変化など、さまざま。
建築基準法で居室として認められるための条件の一つで、部屋の中にどれくらい光を採り込むことができるかを示す指標。「有効採光面積÷部屋の床面積」という式で表される。住宅の居室や診療所の病室などは7分の1以上。保育室や学校の教室などは原則として5分の1以上。有効採光面積は、採光に必要な開口部(窓)の広さのこと。ただし、窓があっても前面に別の建物があると光が入らないので、一定の条件で有効面積が縮小される。
(財)ベターリビングが認定した優良住宅部品(BL部品)を使った場合、部品に瑕疵があっても2年間はメーカーの無償修理を受けられる保証がつく制度。通常の製品は1年保証が普通。また、2001年度から、特定の部品や、部品のうち重要な機能については2年を超えて、3年~5年の長期の保証が受けられる特定機能保証制度が導入された。品確法に対応して、サッシや融雪システムの雨水の浸入を防止する機能は10年保証になる。
広告表示では、一戸建ては建物全体の延べ床面積、マンションは1戸の専有面積(壁心面積)を表すのが原則。専有面積には共用部分の面積は含まれていない。一方、税法上ではマンションの床面積の規定が違う。登録免許税などの国税は専有面積(内法面積)、不動産取得税や固定資産税などの地方税は、専有面積にマンション全体の共用部分の面積を専有面積割合で案分した面積を加えた面積になる。後者を「専用面積」と呼ぶこともある。
工場成形の床、壁、天井、浴槽、機器類のセットで構成される浴室のこと。浴槽と床だけを一体成形したものは「ハーフユニット」と呼ぶ。以前はもっぱらホテルや集合住宅向けだったが、現在は高級仕様の商品も増え、一戸建てでも主流になっている。古いイメージを払拭するため、「システムバス」と呼ぶメーカーも多い。最近では、出入口段差解消や引き戸の採用、手すり・腰掛けの設置など、高齢化対策の開発がすすんでいる。
あらゆる年齢や性別、体型、障害の有無・レベルにかかわらず、誰にでも使いやすい製品等をデザインすること。特定の障壁を解消するというバリアフリーから一歩進んだ発想。さまざまな商品やサービス、ファッション、建物、設備、街、交通機関など、あらゆる分野に通用する。米ノースカロライナ州立大学のR・メイス教授が提唱したもので、7つの原則がある。日本では、ユニバーサルデザイン製品を共用品・共用サービスともいう。
広義には在来工法の木造住宅と、工業化住宅(プレハブ)以外は輸入住宅といえる。ただ、1970年代に輸入された最初の2×4工法は、部材モジュールや内外装プランなどを日本風にアレンジしてあるので「日本型2×4工法」ともいう。現在は、90年代半ば以降に部材モジュール、内外装、生活様式も含めて丸ごと輸入したものを特に「輸入住宅」というのが一般的。輸入元は北米が中心、他に北欧や南欧、オセアニアなどがある。
住宅の規模(広さ)に対する規制を示す数値のひとつで、敷地面積に対する延床面積の割合のこと。用途地域と都市計画の指定によって上限が定められている。たとえば、容積率200%の地域で敷地面積150平方メートルの場合[150平方メートル×200%=300平方メートル]となり、延床面積300平方メートルまでの建物が建てられる。ただし、前面道路が12m以下の場合は、用途地域によって一定の規制を受ける。また、住宅の地下室は条件によって不算入にできる。
がけ地の土砂崩壊防止や、傾斜地のヒナ壇型造成地の段差が崩れないようにのり面(人工斜面)を保護する壁のこと。俗に「土留め」という。擁壁の構造や維持管理が悪いと、豪雨や地震のときに壁体の破壊が起きるおそれがある。集中豪雨や長雨の後に崩れることが多い。水捌けをよくする裏込め石や水抜き穴を適切な場所に設けるなど、特に排水処理が重要。コンクリート、石、ブロックなどの素材があり、積み方は矢羽積みが強い。
浴槽の他に洗い場が別に付いているのが和風浴室。日本ではこれが一般的。浴槽で体を洗い、他に洗面ボウル、便器が付いていて洗面室としても使えるのが洋風浴室。最近はマンション、一戸建てを問わず、すべて工業生産されたユニットバスが主流。浴室の広さは、ユニットバスの縦横の大きさによって簡略化して表される。140cm×180cmなら「1418」。「1620」は160cm×200cm(=3.2平方メートル)で1坪に近いので1坪タイプともいう。
浴槽は深さと形状によって分類される。深さ約60cmでひざを折って入ると肩までつかれる「和式」、45cmぐらいの浅く長い浴槽で寝そべるのに近い姿勢で入浴するのが「洋式」、2つの中間で深さ55cm程度のものを「和洋折衷式」と呼ぶ。最近では縁を広くしたり、浴槽内部に段差を設けて腰掛けられるようにするなど、バリエーションも広がっている。素材はFRP樹脂や人造大理石が主流で、ほかに木製やステンレス、ほうろうなども。
実際に販売を始める前に、売り出し物件の存在を早めに周知させるために打つ広告のこと。消費者の反応を見て値付けの参考にするという意味もある。不動産公取協の表示規約では、予告広告は、分譲宅地、建売住宅、分譲マンション、新築賃貸マンション(アパート)だけに認められている。広告上に、予告広告であること、価格が未定であること、販売の予定時期、販売開始まで契約や申込ができないことを明記する必要がある。
既存の売買の無効を訴えるなど、登記の抹消や原状回復に関する訴訟が起きているときに、裁判所の職権で登記所に嘱託して、訴訟の事実を公示するために行う特殊な登記のこと。法的な対抗力とは無関係な登記で、将来の登記の訂正に備えて行われる予備登記の一種。提起されている訴訟によって登記が抹消されるとは限らないが、紛争中の不動産であることを第三者に知らせて保護するという意味があり、警告登記とも呼ばれる。
太陽の高度が一番低くなる冬至の日に、主な居住室の日照時間が4時間(北海道は3時間)以上確保されること。旧・住宅金融公庫の融資対象住宅の条件の一つだった。ただし用途地域によって条件が変わる。第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域の場合が4時間以上で、それ以外の地域の場合には2時間以上となる。商業系や工業系の地域では日照が重視されていない。
大規模な開発の計画がある地域を対象に、3年以内に都市計画決定をする地域としてあらかじめ指定する区域のこと。詳細なプランが決まる前に、乱開発や投機的な土地取引などが起きることを防ぎ、適地を確保して事業を円滑に進めるために設けられた制度。都市計画法に基づいて定められている。市街地開発事業や都市施設にかかわる6種類の予定区域がある。予定区域内の土地所有者は建築制限がある一方、買取請求権が認められる。
お金の貸し借りにあたって利息の最高限度を定めた法律。元本の金額によって15~18%。印紙代や保証料など契約にかかわる経費を除き、礼金・手数料・調査料などの名目で徴収する元本以外の金銭も利息とみなす。上限金利を超えて支払った分は無効となり、返還の請求が可能。ただし、利息制限法の上限金利を知りながら自分の意思で支払った場合などは返還請求できない。この法律に違反しても罰則規定はない。民法上の規定。
投資に対する利益の回収割合のこと。不動産では、投資額に対する年間の賃料収入の割合を「還元利回り(Capitalization Rate:キャップレート)」という。賃料収入から管理費や税金などの経費を除いた純収入を基に計算する場合を「実質利回り」「純収益率」「ネット・キャッシュフロー率」と呼ぶ。経費を引く前の総収入を基に計算する場合は「表面利回り」。また将来の売却益も含める時は「投資利回り」という。
旧・住宅金融公庫が「中古住宅」を言い換えた新しい呼び名。「優良中古」も「リ・ユースプラス」に呼び変えた。基本的には名称が変わっただけで中身は変わらない。もともと「リユース」とは再利用という意味で、「リサイクル」と並んで省エネルギーのポイントのひとつ。住宅に使用しているのは主に公庫だけで一般的ではない。住宅金融支援機構でも、公庫からの移行後の経過措置として一部の融資で名称を引き継いでいる。
他人の所有物に関する債権を持っている人が、保全のためにそれを所持(占有)している時に、債務者から弁済を受けるまで対象物を自分の支配下に置く権利。民法で定められた担保物権の一種。たとえば住宅の売主は、購入者から代金の支払いを受けるまで物件の引き渡しをせずに留置することができる。これを留置権の行使という。ただ、留置権者は、その対象物の保管に必要な範囲から外れるような形で勝手に使用することはできない。
都市計画区域内で、第1種・第2種低層住居専用地域を除くすべての区域には、隣地の日照及び通風などの環境確保のため「隣地斜線制限」が設けられている。これは、建物の高さを隣地境界線から一定以上の高さを起点とする斜線の範囲内に収めるというもの。起点となる高さは住居系地域で20m、それ以外の地域は31m。それぞれ斜線のこう配も異なる。また、壁面を隣地境界線から後退させるとその距離に応じて斜線制限が緩和される。
複数の人で1つの賃貸住宅の部屋を分けあって共同で住むこと。マンションやアパートをシェアする場合にフラットシェア、一軒家の場合はハウスシェアと使い分ける場合もある。一緒に住む相手をルームメイトという。1人で借りるよりも、2人以上でシェアするほうが家賃負担や水道光熱費などの維持費が軽くすむこと、キッチン・バストイレなどの共用部分を含む広めの部屋を借りられることがメリット。ルームメイト募集BBS(電子掲示板)もある。
賃貸住宅に入居する際に、家主に支払う一時金のひとつ。関西では保証金の償却に当たる。敷金や保証金のように契約期間が終了しても返還されることはない。現在は賃貸住宅の供給が増えて借り手市場になりつつあるが、以前は貸し手=家主の力が強かったために発生した金銭とされる。昔は領収書を出さない権利金だったという説もある。法的な裏付けはない。現在でも家賃の1~2か月分の礼金を取ることが多いが、礼金なしの賃貸住宅もある。
不動産会社が、主に中古物件や土地情報を交換するための不動産情報ネットワークの一つ。「Real Estate Information Network System」を省略して「REINS(レインズ)」と呼ばれる。旧建設省がスムーズな取引を促すために作った機関で、正式には指定流通機構という。全国に4つのグループがある。レインズの会員会社は、売却依頼を受けた物件情報を各地域の本部に登録するなどの義務がある。
住宅を購入するとき、金融機関と住宅ローンの借入について契約することを指す。正式には「金銭消費貸借契約」、「金消契約」と略すことも。以前は連帯保証人が必要だったが、現在は保証会社に保証料を支払う代わりに保証人は不要になった。ローン契約を申し込む時には、金融機関によって3~5万円程度の事務手数料がかかる。契約に当たって、給与証明書や納税証明書など収入を証明するもの、売買または工事請負契約書、登記簿謄本などの書類が必要になる。
予定していた条件で融資を受けられなかった場合に備えて、売買契約書の中に入れる特約条項。内容は「指定の金融機関とローン契約が成立しなかった場合には契約を白紙撤回し、支払済みの前金を無利息で返還する」など。具体的な金融機関名、借入金額、年利、そのほかの返済条件等を明記することが重要。ローン特約がなかったり、あいまいな表現にしておくと、別の高金利の融資をあっせんされ契約せざるを得ない状況になるおそれもある。
会社の倒産やリストラ、給与カット、事業の失敗などによって収入が大幅に減少した結果、住宅ローン、つまり借金が支払えなくなること。自宅を売却してローンを清算できればいいが、売却価格よりローン残債が多い担保割れの状態になると売却は難しい。一定の延滞期間を超えると、金融機関は抵当権を実行して資金の回収を図る。住宅を処分しても清算しきれなかったローンが免除されるわけではない。自己破産しない限り返済は必要。
住宅ローンを借りるときに、連帯保証人を立てる代わりに、民間の保証会社や公的保証機関に連帯保証をしてもらうために支払うもの。借入金額と返済期間によって金額が変わり、長期返済になるほどローン保証料は高くなる。ローン契約時に一括払いする方式と、金利に上乗せして毎月支払う方式がある(融資金利プラス0.2~0.3%)。フラット35をはじめ、ローン保証料が不要の住宅ローンも増えている。
都市部などにある主要な道路に面した土地の税務上の評価額を、1平方メートル当たりの単価で表したもの。相続税や贈与税を算出するときの基準になる。国土交通省が発表している公示地価の8割の水準を目安に専門家が評価して、国税庁が毎年夏ころに公表。全国の税務署や国税庁ホームページで路線価図を閲覧できる。全国約40万地点の標準宅地の平均路線価と、都道府県庁所在地の最高路線価は新聞で公表される。
もともとは1980年代ころから不動産の小口投資用として登場したもの。それまで不動産投資の対象は、オフィスビルや1棟売りマンションなど億単位の物件が中心だったが、一般の会社員でも買える数千万円の投資物件として注目され、急速に普及した。初期のころは1部屋15平方メートル程度と面積も狭く3点ユニットバスのタイプが中心。現在は20平方メートル以上でバス・トイレ分離タイプが増加している。学生や単身者など入居者のニーズも変化している。
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